そのうち隙を見て裏中男の管理する全ての店で泥棒を始めた。
全ての情報が普通に入れている打ち子から入っている。
泥棒の手下達には、セット回数を一度と限定させた。
裏中男の店からの泥棒は最後まで一度もバレる事が無く、全てがチョロかった…
泥棒がやりづらかったのは裏日男の店である。
彼の店には話しの付いた店長や店員がいた。
店側の人間が居る時間帯に手を出せば必ずと言って良いほどバレるのである。
一度のセットでも箱を積めば疑いを持たれる可能性が高い。
実際にカメラで監視している場合もあるだろう。
更に、裏日男の管理する店では換金後すぐに駐車場に待機する見張りの男にアガリを渡す事に決まっていた。
裏日男は、うたぐり深い男であった。
無理は出来ない。
バレてまで泥棒するつもりは無い。
たいした儲けでは無いのである。
情報が細かく分かっている婆さんの入って居る店だけから泥棒していた。
この店は話しの付いた人間の居ない時間帯も知れていた。
婆さん一人の打ち子の時は油断をしていたのか駐車場の見張りも居なかった。
隙を見て普通に出来た。
こちらも一度もバレていない。
婆さんへのご褒美は、隙を見ての、初期投資のごまかしや、換金金額のごまかしであった。
「アイツら、打ち子を苦しめてる悪い奴らだから、ごまかして良いんだよ。ヤクザだし。嫌いでしょ?」
「大っ嫌いです!良夫ちゃんの事もクビにしましたし!」
親馬鹿健在…
馬鹿親か?
てか良夫ちゃんのは当然です!
婆さんは僕が良夫ちゃんをクビにしたとは思っていない。
言えば騒ぐので黙っていた…
婆さんの初期投資の金額が多くても、ボケているから仕方ないと最初から言ってある。
裏日男も裏中男も納得していた。
見張りが居る時もワザと初期投資は多めにさせている。
駐車場にハツコが居る事でアガリを受け取る見張りが居るかどうかは大体知れた。
居なければ一万円近くごまかす様に指示を出す事も度々あった。
一日三軒近くを廻る婆さんには結構な稼ぎであった。
バレても、婆さんはボケていると突っぱねる事に決めていた。
最悪の時の腹は、いつもくくっている積もりであった…
なんの問題も起こらず、泥棒の泥棒稼業は続いて行った。
変造カードは終わっていたであろうか…
はっきりとは覚えていない。
裏日男の店で、手下が泥棒に絡んで、裏日男から僕に呼び出しが掛かった。
僕の全く知らない所での泥棒だった。
変造カードが終わっていて稼ぎが減っていた頃の様な気がする。
たまたま妄爺の店に泥手も僕も居た。
「なんで勝手にやったんだ…」
「つい…」
ついじゃねーよ…
やるならバレんな!
てかバレる可能性が高いから僕は手を出さなかったんだ!
アホか!!
「ついってなんだ…」
泥手が俯いたままで言う。
「友達に話したら自分もやりたいって言うから…バレないと思って…」
「バレんだよ!あの店は店長と店員に話しが付いてんだよ!アホか!」
よりによって最悪の店での泥棒であった。
この時点で泥手の友達が裏日男の見張りに捕まって、泥手の名前や、捕まった店に泥手が打ち子で入っていた事まで全て喋っていた。
言い抜けが出来ない泥棒であった。
裏日男は泥手が僕の所の人間だと気付いて泥手を連れて来いと言っている。
泥手を突き出せば解決する可能性はあった。
泥手に聞いた。
「友達見捨てて良いのか?」
それならば話しを終わらせる自信があった。
泥手を隠して、あいつは逃げたと突っぱね通す。
泥手の友達に全ての責任を取らせる。
僕にケツ取りの話しをするならば許さない。
逆切れ…
負けるつもりは無い。
泥手が答えた。
「なんとか助けてやって下さい… お願いします!」
「見切れよ… 自分でドジっておいて人の事喋る奴なんざ、どうでも良いだろ」
くくっていたはずの腹もゆるんでいた。
コメント
この話好きやでめっちゃ楽しみ!てか何年前か忘れたけど結構覚えとるもんやな笑
更新頑張ってください┏○ペコッ
花火さんこんばんは!応援ありがとうございます。この小説をリアルタイムで更新していたのは12年くらい前です…!記憶に残していてもらえて嬉しい。
花火さんもお体に気をつけて頑張って下さい。