一度目が失敗に終わった地点から二度目の尾行を開始する。
その二度目でアッサリと車の駐車場の位置を手下達は確認した。
三度目の尾行で工場が入っているであろうマンションを突き止める事にも成功した。
部屋番号の確認はさせずに尾行を終了する。
充分であった。
この尾行の結果は、すぐに役立つ事は無かったが変造カードが本当の終わりを迎えた時に、役に立つ事になる。
データー取りを、2日、3日と続けて行くと、スネ夫が不安を唱え始めた。
僕の危惧していた事と同じである。
受付機がパチンコ屋に取り付けられた事によって本来は変造カードが使えなくなったはずである。
しかし、受付機のデーター取りなどを僕がスネ夫に頼んだ事により、スネ夫は新しく使える変造カードが出来ると理解した。
スネ夫は、新しく変造カードが出来上がった場合が不安なのである。
出来上がった変造カードが、受付機を通すのであれば、店側がゴトに荷担している事は、カード会社に、すぐバレるはずであった。
タケコブタに設置されている受付機は、カウンターの上と、券売機の近くに置いてある2台だけなのである。
カウンターの上の受付機に変造カードを通すゴト師は通常いない事が予想される。
カード会社は確実にそう思ったはずである。
ゴトを見逃していないのであれば、券売機の近くにある受付機を見張るだけで、変造カードゴトは防げるはずである。
数枚程度の変造カードならばカード会社も見逃すかもしれない。
しかし、それが大量になった場合、カード会社は決して見逃さないであろう。
これまでの注意や警告程度では済まないはずである。
スネ夫が不安そうに言う。
「新しいカードが出来たら、うちでやるんですか?」
答えに詰まる。
そうだと言えば、スネ夫はデーター取りさえ嫌がる可能性が高い。
仕方なく、ごまかした。
「まだ分からない。安全に出来る方法を考えるよ。安全が確保出来なきゃヨソでやるから心配しないで良いよ」
スネ夫は少し安心した様であった。
新しく変造カードが出来上がった場合、タケコブタでやる事は簡単であった。
スネ夫を脅かせば良いのである。
多分、嫌は言えないであろう。
それで長くカードがやれるのであれば何のためらいも無い。
しかし長くは無理であろう。
すぐにカード会社の手がまわる事が予想された。
新しく変造カードが出来上がった場合…
僕達は、ゲリラ的に、外の世界で変造カードゴトをするしか無いようであった。
コメント