対策 対応策34

僕は二人の喧嘩に口を出す事はしない。

一度源次に意見を求められ、当然正しいと思う源次の味方をした。

すると山が動いた…

親ばか婆さんである。

婆さんは、タイマンならば黙って聞いているが、僕が源次の味方をしよう物なら黙っていない。

婆さんもまた感情論である。

良夫ちゃんと、たいした違いがない。

しかし、痩せぎすの体躯から繰り出す怒声は、僕を縮み上がらせるのには充分であった。

巻き込まれる事を避けた僕に罪は無い…

はずである…

面白い事は面白いのだが毎日になると疲れた。

源次は、良夫ちゃんとの口喧嘩を通し、思いを口にする事に馴れていったようであった。

それが、どこでどう間違ったのか、僕の人としての行いにまでに口を開くようになった。

なぜか、毎日のように、僕は説教をされ始めたのである。

なんでやねん…

勘弁してくれ…

僕が1番の被害者である。

良夫ちゃんが絡むと、なぜか、いつも被害者は僕であった。

カード工場のタナカから受け取った、10通の封筒の中のカードを、次の日の朝10時にタケコブタに設置されている受付機に全て通した。

受付機のデジタル表示部分に出た機械言語を紙に書き取る。

なんの問題もなく、すぐに作業は終了した。

それから直ぐにタナカと連絡を取って封筒のカードを渡しに行った。

源次に何か言われた所で、態度を変える僕では無い。

前日と変わらない態度である。

「タムラさん、これで良いんでしょ?」

そう言いながら封筒を差し出す。

タナカが言った。

「田中です…」

「あ?」

「私の名前は田中です…」

「あ〜 名前… 苗字だろ?」

だからなんだ…

早く答えろや!

こんにゃろー!

タナカが嫌な顔をしながら答える。

「5時間程待って下さい。このカードからデーターを読み取って、新しいテストカードを持って来ますから」

それは前日に聞いていた。

データー取りは一日では終わらないと言う。

何日掛かるかもハッキリと分かっていない。

しかし、それが無駄になる事は絶対に無いと言う。

受付機を通る変造カードの比率を、ドコよりも早く上げて見せるとタナカは言った。

仕方なくダルいが一日に数度のデーター取りを約束していた。

源次も同じ様な事を言っている。

「一回や一日では無理でしょう。何回も往復するのは仕方ないんじゃないですかね。機械の内側からデーターを取るのと違い、外側からデーターを取るのでは、分からない事も多いと思いますよ」

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