電波ゴト48 〜相棒〜

頭がボケていなければ、自分達の仕事が、どこか後ろ暗い事は認知出来ている。

出来ていない奴も多数存在するが…

話し方で、警察は疑うと思わせる。

後ろ暗い事を認知出来ている立場の上の人間は、警察に疑いを持たれる事を嫌う。

警察に目を付けられる事が得策ではない事を知っている。

損をしないゴトをされて、損をする可能性が出て来る。

損得の計算をさせて捕まえる事が損であると勘違いさせる。

そしてトドメに脅かす。

僕の周りに巨大組織があるように匂わせる。

店員を襲う…

お客さんを襲う…

店を潰す事は出来ないが、怖がらせて店にお客さんが来なくする事は簡単だと思わせる。

針は開放に振れる。

彼らは犯罪者ではなく、一般人なのである。

損が無い以上、触らぬ神にタタリ無しを選ぶ。

全ては逃げないと決める事から始まる。

最悪の状況は、逃げない事で切り開けると僕は信じていた。

手下達に、いくら教えても、僕は頭が可笑しいと言われ続けた…

そして彼らは走って逃げる…

僕にはソレが、捕まりたいんだとしか思えなかった。

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この日も僕は、アッサリ開放された。

防犯カメラを見返される事もなく、事務所に引っ立てられる事もなく。

僕を面倒臭い奴だと彼らは認識した。

それで充分であった。

ウジムシを開放されたのは余計であったが…

店を出て直ぐに源次を携帯で呼んだ。

「店にバレたから換金は諦めて急いで外に出ろ。外に出るまでは慌てないで、外に出たら走って店から離れろ。分かった?」

そう言って待ち合わせ場所を教えた。

源次は何一つ言い返す事なく、はい、と言った。

油断していると、冷静になった店員達は、源次に牙を剥く可能性が高い。

混乱から覚めて、僕達を開放した事が失敗だったと気付いている可能性はある。

ウジムシも僕の後に開放されたが、連絡を取らなかった。

少しするとウジムシから電話が来た。

電話に出る気は無い。

店の周りをウロツイていて捕まれ…

そう思っていた。

電話が鳴りやんだ所で電源を切る。

少しすると源次が走って来た。

車に乗せて走りだす。

気になっていた出玉の状況を聞いた。

「何箱出てたの?」

「20箱ぐらいです」

ギクッとした。

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