電波ゴト49 〜相棒〜

借金で追い込まれている奴が黙って10万捨てた…

更にカードをいくら使ったのかを聞くと6千円分だけだと言う。

源次は疑われてなどいない。

僕が損をさせた…

まさか、そんなに出しているとは思わなかった。

「なんで呼び出した時、言わなかったのさ?」

「まあ…」

源次はひと言、表情も変えずに言った。

ショックはあるはずなのに僕を責める顔や態度は一切ない。

諦めや我慢が癖になっているように感じた。

コイツは切れない…

いや…

切らない…

借金を完済させてやろうと決めた。

この後すぐに手下の一人を換金の為にホールへ向かわせた。

しかし来るのが遅く、出玉は片付けられていた。

深追いはせずに諦めた。

「借金いくらあるの?」

源次はクビを振って答えない。

「ゴトで返せる金額なのか判断するから言ってみな」

それでも源次は答えない。

ならば仕方ないと思い、聞く事をやめた。

それから30分ほども経っただろうか、源次はボソリと言った。

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「2400万です…」

随分遅い答えですこと…

顔を見ると表情一つ変えていない。

暗いな…

コイツ…

「随分あるね… でも返せない金額じゃないよ。危ないゴトなら半年ぐらいかな… 安全な変造カードだと一年掛かる。その頃カードは終わってるかもしれないけどね」

源次は驚いた顔をしている。

彼が感情を顔に出したのは、この時が初めてであった。

変に期待されても困るので言った。

「今言った期間、捕まらないツキがあって、根性とテクニックが有ればだよ… 9割の奴が出来ないで捕まったり逃げだすよ。全部自分にかかってる」

こののち僕は源次をユックリと知って行く事になる。

源次は口が重く、彼の事を詳しく知るまでには時間が掛かった。

オッサンなどに興味も無かった。

ただの一人の手下に過ぎない関係が続いていく。

この日の夜、ゴキブリとウジムシを呼び出して、脅かしまくった。

「なんだよ!コイツ!ブルブル震え続けやがって!僕まで捕まりそうになったじゃねーかよ!」

ゴキブリとウジムシは、うなだれている。

ゴキブリは、僕に逆らうと言う選択を捨てているようである。

女、子供でも少しは言い返す…

逆切れもしない。

随分と我慢強い奴らであった。

そこまで我慢強いならカタギになれよ…

そう思う。

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