変化 3

前作までのあらすじ…

【僕】と言う主人公が焼き芋屋さんで働いている時に【妄爺】と言う元ヤクザと出会い、パチンコ屋からインチキを使ってお金を盗む【ゴト師】になって行った。

【僕】が盗み取った金額は総額で約8億円。

パチンコ業界が20兆円産業と言われ始めている時代であった。

それまでのパチンコ台は現金機が主流であったが【僕】がゴト師になった時期をあわせるようにパッキーカードと呼ばれるカードをパチンコ屋内で買って遊戯するCRと呼ばれるパチンコ台に変わって行く時期であった。

このパッキーカードの、偽造、変造カードが世の中に蔓延する。

その波に【僕】は上手く乗った。

かろうじて仲間と呼べる者達と出会い、微妙な手下達を数多く集め、総被害額が、600百億円とも、800億円とも言われる、偽造、変造カード時代を【僕】は消し切れない欲望を胸に泳ぎ切ろうとしていた。

偽造、変造カード時代に【僕】がパチンコ業界から盗み取った金額は、約三億円。

その、偽造、変造カード時代が終わろうとしていた。

【僕】はゴト師としてのゴールがどこなのかを見失っていた。

必死に、偽造、変造カードに変わるゴトを探していた…

〜前回のあらすじここまで〜

スポンサーリンク

スロットの設定を変えるゴト道具を手に入れた次の日…

リュウと源次と手下二人を連れて東京と神奈川県の境目付近の神奈川県の駅へと向かった。

この駅は結構な大きさの駅でパチンコ屋が密集している。

変造カードの時にも来ていて、ギンパラの電波ゴトの時にもよく来ていた。

この駅付近を狙った理由はいくつかある。

カードをやった時に店員達の動きは見切っている。

ギンパラ電波ゴトは、やり過ぎた結果、電波センサーを取り付けられた。

これが一つの狙い目だと考えていた。

この駅近辺のパチンコ屋に取り付けられた電波センサーには癖がある。

敏感…

三流メーカーの敏感センサーが取り付けられている店ばかりであった。

敏感センサーは電波ゴトに対して絶大な効果を発揮する。

センサーの取り付けられた台付近で一度でも電波を飛ばせばすぐに反応する。

携帯電話の電波にすら反応する時もあった。

この敏感センサーはパトライトとセットになっていた。

センサーが電波を感知すると赤いパトライトがクルクル発光しながら回りウーウーとサイレン音を発する。

電波ゴトは絶対と言って良いほど出来ない。

しかし電波センサーが取り付けられているのは、どの店もギンパラのパチンコ台が置いてある列だけであった。

僕の知っている限りスロットでの電波ゴトはこの道具が初めてである。

だからなのかスロットコーナーには電波センサーがついていなかった。

この近辺のパチンコ屋はギンパラ電波ゴトを散々にやられた後にセンサーを取り付けた。

対処療法である。

ゴトと対策はイタチゴッコなどとよく言われる。

しかしこれはイタチゴッコではない。

既にこの近辺のパチンコ屋は電波で痛い目にあっているのである。

危機管理能力があれば店全体にセンサーを取り付けるのが普通ではないのか?

店全体にセンサーを取り付けない理由は、大きく言って二つある。

一つが、センサーが敏感過ぎる為に携帯電話に反応してしまう為めんどくさい。

もう一つは単純にセコいのである。

そして被害者ヅラをする。

被害者ヅラをいくらした所で損害金は戻る事はない。

なぜパトライト付きのセンサーを導入したのかも意味が分からない。

抑止効果を狙ったのなら間抜けとしか言えない。

コメント