対策 対応策78

リカちゃんと組む事で少し希望が見え始めた。

しかし、まだまだ動き始めたばかりである。

裏ロムやハーネスを取り付ける為に動きながらも受付機設置後の変造カードは始まって行った。

源次と二人でカードの試し打ちをした帰りに、カード工場のタナカと会って現状を伝えた。

「カード3割ぐらいしか受付機に通らないな。その上使えば最後に必ずエラーが出る」

「3割ですか… あれ?最後に必ずエラーとはどう言う事ですか?」

「ん?どうって?」

「全部のカードを話しの付いた店で使って試したと言う事ですか?」

あ〜 そこか…

タナカは、無理を嫌う、大人しい日本人のゴト師達ばかりを見て来たのだろう。

常識で行くと、エラーが多発する変造カードは返却される。

100枚の変造カードの中に10枚もエラーカードが混ざりでもすれば、ゴト師達は大騒ぎした物である。

しかし、僕の手下の怖がり達にすら、エラーが多少出た程度のカードならば使い切れと僕は言って来ている。

その程度の事が出来て初めて僕は手下と認める。

出来ない奴は、カード代金を高く設定して、僕の近くには寄せ付けない鴨であった。

僕の手下達は例え怖がりと僕が認識していても、そこら辺にいる、稼げない本当にクズなゴト師達とは少し違っていた。

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僕達以外の変造カードゴト師達のほとんどが、サンドの鍵すら持っていなかったのではないだろうか。

たとえ鍵は持っていても使わない奴らが多かった。

彼らは、エラーカードを抜いて帰ると言う選択をはなから捨てている。

エラーが出た時に箱を積んでいた場合、カードを抜かないと言う事は、出玉は捨てて逃げなければいけないと言う事である。

顔を覚えられたり、ビデオを見返されたりしている可能性があるので、その後その店には行きづらくもなる。

それでも彼らは、カードも玉も捨てて逃げるのであった。

変造カードを始めて最初にエラーが出た時、彼らはお金よりも安全を選んだのではないだろうか。

一度逃げたら何度でも逃げる…

初エラーの時、僕はサンドの鍵すら無かったが逃げずに変造カードを回収した。

逃げる選択が出来ない、金の亡者で貧乏人であった。

その後もエラーが出た程度の事では逃げていない。

その僕の常識を、手下達にも当然教えた。

僕の手下達は、その辺のゴト師よりも、万事においてハードルの高い常識の中でゴトをしていた。

「いや、話しは付いて無い店だ」

タナカが驚いた顔をしている。

そんな事が出来る訳が無いと言う顔である。

抜き屋で楽に暮らして来ている奴らが僕は嫌いであった。

死ねとさえ思っていた。

逃げずにエラーカードをサンドから抜くと決めれば、技術的に対した事では無い。

問題は、怖がらないかどうかに全て掛かっていた。

ちなみに、変造カードの期間を通じて、エラーカードを鍵を使い抜いている時に捕まった奴は、手下達の中には居なかった。

使用済みの変造カードをタナカに渡した。

カードのパンチ穴を確認したタナカは更に驚いた顔をしている。

「使えるけど、もっと精度を上げてくれ。危な過ぎる。でもエラーより受付機を通る枚数が少ない事の方が問題だよ。受付機を通れば僕達はやって来る」

「え!?これでもやるって言うんですか?」

「やるよ。駄目なの?」

僕には一つ心配な事があった。

この程度の出来の変造カードしかタナカ達が作れない場合の事である。

工場の技術が低いままだと、100枚の変造カードを受け取っても、70枚は未使用で返却する事になる。

しかしタナカ達は、全てのカードに使えると思っている磁気データーを書き込んで来る。

それが使えないで戻される。

その労力をタナカ達が嫌がれば変造カードは販売されない。

それを止める為には、決して僕が出来上がりのカードを恐れる態度を見せてはいけない。

絶対に怖いなどと言ってはいけない…

見知らぬゴト師達が出来ないと言っても、僕は出来ると言い続ける…

どんなに不可能に思えても出来ると言い張る…

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