僕はすぐに新しい打ち子を送り込んだ。
打ち子の取り分は3割で僕が1割を抜いた。
僕は子供の使いでは無い。
揉め事が起これば僕の所に来る以上、当然の1割である。
更にこの先、自分で裏ロムやハーネスを取り付けた時の事を考えていた。
裏ロムやハーネスの打ち子の取り分などは3割で充分である。
打ち子に価値など無い。
良心さえ捨てれば、アホでも出来る事である。
僕の中では、裏ロムの打ち子など、ゴトとは呼べない、ただのバイトであった。
打ち子が捕まる事は絶対に無い。
一次的に警察署に引っ張られる事は余程の馬鹿なら有り得るが、どんなに録画ビデオを見返されて不自然な動きを確認された所で、自分がゴト師と認めなければ無罪である。
変則打ちを咎める国の法律は無い。
あるのは、裁判などには全くの役立たずな、ハウスルールと言われる、パチンコ屋内だけで通じる変則打ちを禁止する、ルールだけである。
疑わしきは罰せず…
それが、この国の法律である。
ところがパチンコ屋の方には罪がある。
打ち子を、ゴト師などと言って拘束した場合、酷ければ、名誉毀損や逮捕監禁などの罪になる場合がある。
優秀な弁護士が付けば普通に有り得る。
被害者が加害者になる可能性が、この国の法律にはある。
この逆転現象を利用してお金にする詐欺が、ゴネやタカリしか出来ない、ランクの低い低脳ヤクザやチンピラ達の間で一時期流行っていた。
わざとゴトをしている振りをして捕まって恐喝する方法である。
これらは裏ロムやハーネスに限った事ではなく、変造カードなども含めたゴトでも、共通して使われた手口である。
変造カードの場合は、不審なそぶりで本物のカードを使い、わざと店側に捕まる。
裏ロムなどでは、大当たりを自力で引いて、その後に露骨なセット打ちをしている所を、仲間に店側に通報させる。
これらの手口に掛かると店側は簡単に引っ掛かっていた。
誤認逮捕である。
その後はお定まりの様にユスリタカリであった。
構わず警察に届けるのが正解なのだが、警察の介入を好まないパチンコ屋は、お金を支払う結果になった。
店側は、ユスリタカリだと言う事には気付いているはずである。
目に見えない物を怖がってはいけない…
僕ならばすぐに警察に通報する。
誰でもそうではないか?
誤認逮捕や名誉毀損など屁でもない。
タカリ屋達は裁判など起こしはしない。
警察が介入すれば、逃げ出す奴らが殆どであろう。
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