「それと、今日の取り分だけど、20回以上出た分の奴は貰えないよ。だから手取り4万ぐらいだよ。まあ、余計にくれるって言うなら黙って貰っておきな」
「え!?何でですか!?」
この期に及んでまだ…
さすがだ…
「打ち子ってのはそう言うもんだよ。中華ソバ達と喧嘩する覚悟があるなら好きにしな。僕は一切かばわない。泥棒から泥棒する時は覚悟がいるんだよ。あんまり舐めてると痛い目に合うよ。奴らの中にも危ない奴は沢山いる。良夫ちゃんの小銭の為に、僕は危険を犯す気はない」
「え〜頑張って出したのに〜」
駄目だこりゃ…
自分が何をしたのか理解しきれていない。
この当時の裏ロムグループの中には危険なグループが相当数あった。
彼らは決して泥棒を許さない。
セット方法を誰かに聞いて、こっそり出している所などを見つかれば、いきなり掠われて痛い目にあったりする。
実際に泥棒をして掠われた奴らを何人も知っている。
一人などは死に掛けていた。
その男は、打ち子で入っていた友達にセットの方法を聞いて、軽い気持ちで泥棒に行った。
それが見張りにすぐバレた。
その男は、裏ロムが取り付けてあるパチンコ台で5箱程を積んだだけである。
裏ロムの中には、セット以外では出ない作りの物がある。
一般のお客さんがいくらお金をつぎ込もうとも出ないのである。
僕以前の時代は、この手の裏ロムが主流だったと言うが真意は知らない。
なぜか僕の時代には、一般のお客さんが打った場合は、普通の台に変わる裏ロムが主流である。
泥棒を企てた男が座った台の裏ロムは古いタイプの物であった。
セットを知らなければ出るはずの無い台で箱を積んだ以上、泥棒確定である。
見張りの誰かにすぐに見つかった。
この時の裏ロムグループは過激であった。
後先も考えずにパチンコ屋内で泥棒男に襲い掛かり拉致したと言う。
手口が〇国の貧しい地方出身者のやり方である。
どこの国にも馬鹿は居る。
後先が考えられない彼らは恐ろしい。
暴力の限度も知らない。
泥棒男は、たった3万円前後の玉を出しただけで下半身不随にされた。
この手の話しをあげれば枚挙にいとまが無い。
日本人の裏ロムグループに捕まれば、多額のお金を取られる結果が多かった。
良夫ちゃんがやった泥棒も、証拠を掴まれたら、同じ結果になる悪質な物である。
しかし彼はノンキであった。
知らない奴は幸せだと思った。
コメント