打ち子の途中で状況を僕に知らせる事が出来るようなら連絡するように三人には言ってある。
途中でハツコから連絡が入り、婆さんは問題なく出来ていると言う。
ハツコや婆さんが言う事など鵜呑みに出来ないが中華ソバからの文句の電話が来ない事が答えであろう。
良夫ちゃんからは途中で僕に電話が入る事は無かった。
また流された…
スルーじじい…
スルーしてはいけない状況でも良夫ちゃんは僕の言う事などスルーする。
人様の仕事に良夫ちゃんを行かせる事に強い不安を感じる。
僕への対応と同じ事を周りにすれば、多分彼らは我慢したりはしない。
彼らが必死に取り付けた裏ロムの店を、良夫ちゃんが有り得ない事をして潰せば、必ず僕に文句が入る。
損害金の請求をされる可能性すらある。
しかし僕は彼らに謝ったりは絶対にしない。
当然喧嘩になる。
勝てば良い…
僕の国でデカイ顔はさせない…
そう思っていた。
しかし揉めてもお金には為らない。
どんなに腹をククッても良夫ちゃんへの不安は消える事が無かった。
裏ロムを二人が始めて三日目に、良夫ちゃんが、またやらかした。
この当時のパチンコの大当たりは、一回約6千円のお金になった。
裏ロムの付いた台で10万円出せと言われたら、大当たり回数は、約17回である。
当たりを引くまでに使った金額や、途中でカモフラージュの為にわざと打ち込んだ玉分を入れても、10万円出す為には20回も当たりを出せば充分である。
しかしピッタリ10万円出して切り上げる事は難しい。
セット後の連チャンは台任せだからである。
止まらない事も当然ある。
連チャンを止める為には単発のセットを掛ければ良いのだが、連チャン中のセットは多少難しく目立つ。
なので自然に出るに任せるのが普通である。
中華ソバのグループも自然に出す様にしていた。
自然に出せば、大当たりが20回を越える事は普通に起こる。
出した金額の取り分がパーセンテージで決められている以上、打ち子の取り分は増えるのである。
しかしそれが余り続けばわざとやっていると裏ロムグループに疑われる結果になる。
当然クビになったり、場合によっては痛い目にあう。
そこまでは行かなくてもお金の受け渡しの時などにイヤミの一つも言われる。
出し過ぎが続けば、店側に、見た目やデーター的に疑われる結果になりやすいからである。
先を考える事が出来る打ち子は、意外と取り決めを守るのが常識であった。
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