慌てて謝った…
脳みそを直接揺する様な奇声が苦手であった。
「ごめんなさい… 冗談です…」
妊産婦がやる、ラマーズ法の様に、ヒッヒッーフッフー言っている…
産む気?
ここじゃやめてね!
受付機が付いた事により仕事が無くなったので、キレやすくなっている様であった。
落ち着いた様なので言った。
「安いけど楽な仕事だからやってよ… 捕まらないし」
「何よ!?」
何よって…
なぜこの家族は僕を召し使いの様に扱うのだろう…
損などさせた事は無いのに…
不思議であった。
ハツコは初めから婆さんとセットで行かせ様と思っていた。
婆さんは一人で電車移動など出来ないのである。
足腰はしっかりしていたので、やってやれない事は無いだろうが、途中で死なれても焦る。
ハツコの車で回って、婆さんが1万円前後の日当を払えば良いと考えていた。
それを婆さんに言った。
「結構です。自分で行けます」
うざい…
「なんで?ハツコさんだって仕事無くなって困ってるでしょ?」
「1万円は高いです」
どんだけ…
自分の娘じゃん…
良夫ちゃんの欲張りは、間違い無く婆さんの遺伝であった。
ならばハツコも婆さんと一緒に打ち子と考えたい所だが、ハツコは人に紹介出来ない。
ゴト師としての腕が初心者レベルである。
裏ロムでは目立つ事が1番まずいのに美人で目立つ。
その美貌に、源次などは恋をしていた。
「あいつ頭おかしいんだよ。良夫ちゃんの妹なんだから分かるだろ?」
「ハツコさんは良夫さんとは違いますよ。彼女は誤解されやすいだけです」
なるほど…
嫁に借金ダルマにされて逃げられるはずだわ…
絡みたく無いので放っておいた。
ジジババの恋愛なんぞに興味も無い。
源次は、女で失敗する様な気がした。
ハツコを運転手で婆さんに使わせる為にはどうするかを考えていた。
直後に時報がパチンコ屋内で聞こえない事を知った。
閃いた。
婆さんに時報を聞かせるタイミングでハツコに電話をさせるのである。
ハツコはパチンコ屋の駐車場にでも待機していて婆さんから電話が着信した瞬間に時間を計り始める。
時間が来たら婆さんに伝える。
ハツコはパチンコ屋の外に居るので怒鳴って伝えるのでも構わないが、携帯の機能を使って伝えさせる事にした。
メールなどの機能は、まだ無かった様に記憶する…
あっても婆さんには使えなかった。
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