「もうバレ掛けて、少し休ませてる危ない店だけド… そう言う店が結構あるんだヨ。お婆ちゃんぐらいの見た目なら普通に出来ると思うゾ」
きついな…
婆さんには無理だ…
セット自体、覚えて出来るかが分かっていなかった。
良夫ちゃんの様に体内時計が狂っている場合もある。
二人は似ているので可能性は高い。
いろいろ考えた結果、僕は独断で断った。
しかし僕の判断は間違いであった。
後に婆さんは、バレ掛けた裏ロム設置店の、再生屋の様になる。
婆さん達がやらないならと、僕は手下達を売り込んだ。
「普通の打ち子しか出来ないけど、若い大人しそうな見た目の女の子ならいるぞ。何人か使ってよ」
中華ソバは、二人なら構わないと言った。
そして僕は、若くもなく、大人しくも見えない二人の女ゴト師を、3割の取り分で打ち子に入れる様になった。
1割は当然僕のポッケの中である…
いつまで経っても僕はセコかった…
婆さんは、休み時間を大目に取りながらも、受付機設置の前日まで、変造カードゴトを休む事なく続けていた。
そして受付機が設置稼動された。
婆さんも良夫ちゃんもギンパラの電波ゴトが出来ない。
根性の面では何の問題も無いのだが技術面で無理であった。
ギンパラの電波ゴトは、道具の操作方法や、当たりを引く仕組みを覚えるまでが少し複雑である。
二人はこれを理解しなかった。
婆さんは早々と諦めたのだが良夫ちゃんはしぶとかった。
電波ゴトが始まった当初は、変造カードゴトの儲けの三倍は稼げていたので、欲張りな良夫ちゃんにしてみれば当然の事であった。
「絶対覚えます!」
いや…
無理だ…
やめとけ…
無駄だ…
100年やっても出来やしない…
絶対だ!!
世の中に、絶対と言う事は、間違いなくある事を知った。
哀れなり…
良夫ちゃん。
僕は良夫ちゃんの悪戦苦闘を見て笑っていた。
しかし笑っていられない事になった…
良夫ちゃんは練習用のパチンコ台と道具を家に持って帰る事が出来なかった為、知り合いの家に運び込んで練習していた。
嫁と子供には、ゴトをしている事は内緒なのである。
手下が使っている道具を夜に貸して、朝返して貰う形で練習していた。
朝早くに僕に良夫ちゃんから電話が来た。
「道具、練習してたら動かなくなりました」
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