道徳的には間違っているが、変造カードゴト師は、お客さん達の敵では無かった。
金銭的な事だけを言うならば味方ですらある…
この変造カードの仕組みは、テレビの報道を見ていて、少し頭を働かせれば誰にでも分かった。
しかし、そこまでゴト師ごときの事を考える一般の人達は少なかったのではないだろうか。
問題は濡れ手にアワで儲けを手にしていた数々のパチンコ屋である。
彼らは変造カードゴトに、ゴトと言う言葉が付く事によって、あたかも自分達も被害者の様な顔をした。
お前ら…
儲けをドコにやった…
店の建て替えに使ったか?
防犯設備を充実させたか?
偉そうに乗り回しているハイグレードのクソベンツになったか?
ただ、飲んで食って終わったか?
お客さんに、変造カードゴトの儲けを、還元したパチンコ屋が在ったとは僕には思えない。
変造カードがピークに達した頃ですら、沢山の僕の手下達の口から【最近パチンコ出るな。儲かるな】とは、ついぞ聞かなかった。
パチンコ屋は、被害額が出ればお客さんに被せ、儲けが出れば知らん顔をする…
僕のヒネくれた勝手な考えである。
真意の程は分からない。
しかし、あながち間違ってはいないと僕は思う。
パチンコ屋は、僕の、許されざる敵である。
良夫ちゃんと婆さんは、店側がどんなに玉抜きを警戒していても構わず玉抜きを続けていた。
完全に見た目に頼ったゴト師である。
まさかこの老人がと店側に思われる。
二人で並んで打つ事によって一人がブロックに専念したりする。
ブロックなどは見ていると冷や汗が出るが、完全なコンビ打ちであった。
一応はお客さん達に対してのカモフラージュの積もりである…
僕から見れば、全くの冗談に見えた。
しかし手下達の手にする儲けの倍は稼いでいた。
僕が二人とやる時は、二人より毎日、2万円前後少ない稼ぎであった…
負けてんじゃん!
引きも弱かった…
ガックリです…
しかし、やり合えば勝ったり負けたりであった。
玉抜きは、僕も平気でやる。
引きが弱い分、やり合う時の玉抜き率は二人よりも高い。
しかしやり合うのは危険である。
二人はムキになる…
安全を完全に捨てるのである。
移動の際に僕の儲けを聞いて、自分達が負けていたりすると、その後の店の中でゴトの最中だと言うのに、何度も僕の出玉の様子を見に来たりする。
自分達が勝っていれば納得するのだが、負けていれば、狂う…
狂っている奴らが更に狂うのである。
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