僕の思惑通り一連の行動が取れた。
カードの最後には、やはりエラーが出たが、店員の動きのタイミングを計り、危なげなくエラーカードを抜く事も出来た。
人は選ぶが、やれると思えた。
一つだけ思惑をハズれた事がある。
5枚のカードを使い切っても当たりが来ないのである…
この日の、これまでの苦労が、全て無駄と言う事である。
変造カードは、使えたからと言って、お金になる訳では無い。
当たりを引いて、初めてお金になる。
使えるカードが沢山あるのならば玉抜きなどの方法も取れるが、これまでの様にカードが使い放題では無い。
これから先を考えると、自分の引きの弱さが1番恐ろしかった。
5枚目の変造カードを使い終わった時の僕の感情は怒りだけである。
この…
くそボッタ!!
完全な逆恨みで、この店は、僕の中ではボッタクリ店確定である。
許せん!!
怒りがピークに達している自分がいた。
使える残りのカードの枚数の少なさが1番の原因であった。
5枚使い終わったら次の店に移ろうと思っていた事など、どうでもよくなった。
移動がウザい。
怒りが僕を無敵にしていた。
怒りのままに席を立ち、受付機に向かう。
頭の片隅で黄信号がともる。
関係無い!
黄色は急いで渡れだ!
止まるか!!
ポケットから残り4枚の変造カードを取り出す。
なんのタメラいも無く受付機に連続で通す。
最後の1枚を通しながら、自分が座っていた台の方向を、首だけ振り向けて見た。
先ほどの店員が怪訝な顔でこちらを見ていた。
うぜー!
僕が首だけ振り向けて店員を見た事で疑いを呼んだのであろう。
店員が僕へと向かって歩き出す。
首だけで店員を見る姿勢は疑いを招く物である。
僕は更に頭にキた。
店員へと向かい、足が勝手に歩き出す。
彼が僕に何かを言おうとした直前に、先に口を開いた。
「なんだよ!あの機械!いちいちめんどくせーな!」
そう言いながら店員を睨み横を通り過ぎた。
店員は怯んだ様に、すいませんと言っていた。
歩くスピードを変えずに店員の謝罪を無視して、先ほどのハマっていた台にまた座った。
カードをサンドに挿入する。
すぐに僕の横の立ち位置に戻った店員と目が合った。
店員はペコッと頭を下げて愛想笑いをしていた。
僕はヘラッと笑い返した。
この日、この店で9枚の変造カードを使い、僕は当たりを1度も引かなかった。
パチンコなんて…
勝てないよ…
無理、無理!!
コメント