対策 対応策42

僕の方を見ていた店員の横に差し掛かる前に、4枚のカードを胸ポケットにしまい、代わりに取り出した煙草に火を付けた。

店員は僕のことを見ている様に感じた。

その店員が担当する列の、店員から1番近い、空いていた角の台に座った。

サンドのランプも店員から丸見えである。

いくら何でも、この位置でエラーが出れば、店員は気付くと思われた。

台に座ると同時に、店員など構わずカードをサンドに投入した。

金額表示窓口に【30】と言う数字を確認して貸し玉ボタンを押す。

玉が出た。

よし…

問題なし…

僕はボンヤリとパチンコを打ち始めた。

店員は何も言って来ない。

全てとは言わないが、逃げる姿勢や怯む態度を見せなければ、店員は疑いを、お客さんにイキナリぶつける事はしないのが普通であった。

しかし、態度に少しでも怯みや恐怖を出したら別である。

自分の判断で捕まえる事はしなくても、他の店員に相談したりする事が多い。

相談された段階でアウトである。

疑えば必ず店員達は張り付く。

ゴトの確認をしようとする。

相談する動きを見せたら逃げれば良いのである。

当然その際に走ったりしてはいけない。

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どんなに内心恐怖に震えていても、外見には一切出さない練習を毎日して来ている。

休む事なく、これまで続けて来たゴトが、僕を確実にゴト師として成長させていた。

店員はじきに僕から目を切った。

それを感覚で感じる。

カードの残り金額がなくなる前に、その店員の癖などを読み取る。

およその知能レベルや、役職なども同時に想像する。

歩くスピードを計り、どのタイミングで通路内に出入りするのかを知って、カードの終わりに出るエラーのタイミングを自分で決めなければいけない。

店員が近くにいない時にエラーが出る様にする事は、それほど難しい事では無い。

最後の500円の貸し玉ボタンを押すのは僕なのである。

続けて1000円分の玉を出しても問題は何もない。

店員が離れるタイミングで最後のボタンを押してエラーを出す。

そしてサンドの鍵でエラーカードを抜く。

全てが、簡単な事だと思った。

受付機を通ってしまったカードなど、これまでのカードとたいした違いがないのである。

エラーが出た時、店員が横に居る事など日常茶飯事であった。

そして普段からやっている、拾って来た本物の使い済みカードを、1枚ジーパンの内股に取り付けた隠しポケットから取り出し、灰皿の横に置く。

使い終わった変造カードを、そのポケットに仕舞う。

全てが、何度も繰り返して来た事である。

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