タケコブタの近くにある2軒のパチンコ屋が、偵察の時、なんとなく受付機に通しやすい様な感じであった。
その内の1軒に向かう。
考えてみれば随分ひどいカードではある。
受付機に通すだけでも困難であるのに、その中で使えるカードは3割。
使えば最後にエラーまで出る。
この後に知ったが、カードを途中で抜いてもエラーは出た。
1度サンドに入れたら、捨てて帰らない限り、必ずエラーが出ると言う事である。
どれぐらいの変造カードゴト師が残るのかは、やはり予測出来ない。
全員辞めても不思議ではない。
頭がおかしいか、どこか狂っている奴しか残らない様に思えた。
この先、変造カードを手下達に売って、大きく儲ける事は出来ない事を知った。
僕は随分楽に人より稼いで来ている。
今回の儲けの落差を思うとゴト師など辞めようかとも思う。
他のゴトを探す必要を強く感じた。
パチンコ屋に着いた。
緊張感がなさすぎる程、落ち着いている。
パチンコ屋の店員達の動きや対応が、全て感じ取れる様な気がする。
自分は何をしても捕まらない様な変な感覚に襲われていた。
自分に言い聞かせる。
勘違いするな…
そんなハズは無い…
捕まる時は捕まる…
僕は普通の人間だ。
パチンコ屋へと入った。
この店の受付機は、入口に近く、カウンターに平行する通路にあった。
受付機の前に立てば、列のお客さんに対応する為の店員が、常時3人は見える。
僕から見えると言う事は店員達からも当然僕が見える事になる。
逃げないと決めていた。
真っすぐ行く。
細かい策などいらない。
心臓の強さで勝負する…
手に5枚の変造カードを普通に持ち、受付機の前に立つ。
1枚目のカードを投入口に差し込む。
体から力を抜いて、デジタル文字の表示窓口に、【30】と言う数字が出るのを3秒程待った。
それ以外のデジタル文字は、受付機がカードを受付なかった事を意味する。
【30】
よし…
出た…
使える…
すぐに次のカードを通す。
店員の方は全く見ない。
体の動きをユックリとする事だけを考えていた。
2枚目も3枚目もデジタル文字は【30】と出た。
最後の5枚目も【30】と出た。
投入口から戻った変造カードを、まとめて手で軽く持って、体ごと店員達が居る方向に向けた。
僕の方を見ている店員が一人いた。
アイツだ…
その店員に向かい、僕はユックリ歩き始めた。
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