せめて当たりでも引かないかな…
楽させてくれ…
願いも虚しく液晶画面の三つの数字は揃わない。
僕は、ツキを他の部分に使い切っているのか、引きが異常に弱かった。
同じ金額を使っても他の奴らに出玉で勝つ事は珍しい。
基本、パチンコに興味が無かったので、どう言う台が当たりやすいかなどは全く知らない。
パチプロなどと言う人種を神の如く思っていた。
インチキ無しで勝つなど僕には不可能であった。
そこへいくと婆さんや良夫ちゃんの引きは異常に強い。
知恵は無いのでパチンコ台の事を詳しく知ってはいない。
言う事は、完全にオカルトと呼ばれる摩訶不思議な理論である。
「玉の打ち出しの強い時間帯が出るんです。見てたら分かるでしょ?その時、左隣りの台に移るんです。三千円以内に当たります」
んなアホな…
仮にその通りだとしても、そんな濁った目で玉の打ち出しの強弱など分かるはずがない…
仮にも何もない…
そんな事は有り得ないのである。
パチンコはスタートチャッカーに玉が入った時だけに当たりハズレの判定をしている。
二人に、いくらそう言っても全く理解しなかった。
そして摩訶不思議な当たりを引き続けるのであった。
当たりもエラーも出ないまま最後の500円を玉に変える為、貸し玉ボタンを押した。
玉が出て金額表示の数字がゼロになる。
使い終わった変造カードがサンドから吐き出される…
ん!?
あれ!?
出ない!
ギクッとしながら金額表示の所を見た。
見たくはない、エラーを表示するデジタル文字が出ていた。
当然カードは吐き出されずに、サンドの上部のエラーランプが点滅を開始している。
マジで〜
泣きそうである。
しかし慌てたりはしない。
サンドの鍵をポケットからユックリ取り出しエラーを解除する。
今度はカードがサンドから吐き出された。
ため息が出てしまう。
源次の方をチラッと見た。
あろうことか、源次もサンドの鍵をヒネッていた。
駄目じゃん!!
カードの使い終わりでエラーが出るようであった。
源次にアゴで外に出る様に指示をする。
どうするかを決めなければいけない。
玉が無くなり僕は外へ出た。
源次を待つ数分の間に腹は決まった。
全てのカードを試す…
タナカに、一々泣き付くのは面倒である。
他の選択は、有り得なかった。
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