データー取りの合間に、数件のパチンコ屋を廻って、受付機の設置状況を確認して歩いた。
カウンターの上の受付機では、お客さんが出した本物のカードを店員が受け取り、通している店が多い。
基本的にカウンターの上の受付機に変造カードを通す事は、どこの店でも無理な様に思えた。
残るは券売機近くの受付機である。
この縦長の受付機は、数件のパチンコ屋を見て廻った所、設置場所が券売機の横とは限らない事が分かった。
どの店も入店したお客さんの目に付きやすい場所に設置している様であった。
目立つ位置と言う事である。
大きい店ならば、2台、3台と設置されている店も、少ないがあった。
しかし変造カードが出来上がったからと言って、簡単に受付機を通す事が出来るとは思えなかった。
微妙な見張りが立っている店すらある。
手下達の中で、どれ程の奴らが残るか…
半分…
無理か…
受付機を無事に通過するカードの比率によるか…
まだ、何も分からなかった。
不安だけが僕の上に降り注いでいた。
頭に一人の男が思い浮かぶ…
良夫ちゃんである。
アンタならどうだ…
全部やれると言うか…
言う…
間違いない!
ならば僕にも出来る!
負けん!
見とけ!!
気合いが僕に宿る。
既に受付機が設置された事により何のゴトも出来なくなった手下達に言った。
良夫ちゃんも婆さんも、まざって居る。
「カードはそのうち出来るかもしれない。でも基本は受付機を通す形になりそうだ。それも多分全部のカードが通る訳じゃないと思う。やる気がある奴は受付機の通しやすい店を探しておきな。ただ、受付機が通ったとしても店が捕まえる気で来ていたら捕まる可能性は高い。やるなら覚悟はしろ」
皆の顔に暗い影がさす。
しかし中には単純に喜んでいる奴らもいる。
誰もが、まだ何も分からなかった。
分からないながらも、誰一人辞めるとは言わない。
自分には出来ると思っているのか、ただしがみついて居るだけなのかは分からない。
めいめいでユルそうな受付機を探して街に繰り出して行った。
やはり半分程の手下は、消える様な気がした。
この時期、同時に裏ロムやハーネスゴトの為に動き始めていたが、まだまだ時間が掛かる事は明らかであった。
例え上手く裏ロムやハーネスが取り付けられたとしても、少ない手下に、一日、2、3万円渡す事が精一杯だと思っていた。
ゴト師として生き残る為には、出来上がったカードが、どんなカードであろうとも、やるしか無いのであった。
震えは、すぐ目の前に来ていた。
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