対策 対応策30

「じゃあ、明日の朝また… これから金貰いに行ってきます」

それだけ言って、今度は伝票を持たずに席を立った。

交渉が終わった以上、クソどもに奢る気は失せていた。

ファミレスを出て、車に乗り込もうとしているとゴキブリが追い掛けて来た。

少し慌てているように見える。

「ちょっと二人でお茶飲もうぜ!」

ウザい…

どうせ取り分の話しだろ…

「コヅカイならやらねぇぞ」

ゴキブリが驚いた顔で言う。

「なんでだよ!兄貴と繋いだだろ!」

「繋いだ?ふざけんなよ。僕の味方しろって言ったよな… 兄貴の為の話しになっちゃったじゃねーかよ。あ?!」

ゴキブリが得意な顔で言う。

「仕方ねぇじゃねーかよ。兄貴は切れ者なんだからよ!お前も頑張った方だよ!」

「ざけんな。コヅカイ欲しけりゃ兄貴に貰え。じゃーな!」

車に乗り込んだ。

助手席の扉をゴキブリが慌ててガチャガチャやっている。

開かない。

「おい!おい!待てよ!くれよ!」

叫んでいる。

笑える…

僕にタカると痛い目見せちゃうよ…

窓だけ開けて言った。

「いくら欲しいんだ?100円か?200円か?」

「10万だろ!?」

アホか?

「有り得ないな… 5万なら考えといてやるよ。明日な」

それだけ言って窓を閉めて車を発進させた。

スポンサーリンク

その日、近くのファミレスで待っていた源次に会って、借金が300万円で、全て無くなる事を伝えた。

源次の見開かれた目に涙が溜まっていく。

うわっ!

泣くじゃん!

キモッ!

僕は慌てて言った。

「これから機械関係で僕が分からない事は、全部源次さんにやって貰うから!当然、ただ働きね!言うなれば奴隷!分かった?!」

源次は、涙を堪えて、ひと言言った。

「分かりました」

次の日の朝1番に、知り合いの弁護士を連れ出して、源次と三人で、ダニの待つファミレスへ向かった。

別段、弁護士など要らないが、何かあれば、すぐに弁護士が動くと言う事を、ダニに分からせておきたかっただけである。

ダニ達は、源次を見るなり、薄笑いを浮かべて軽口を叩いている。

二人の言っている事など無視して聞いた。

「書類全部揃ってますか?」

ダニが答える。

「おー 揃ってるぞ。金は?」

「貰って来ました。書類見せて下さい」

ダニが大きめの茶封筒を僕の目の前に放って寄越す。

てめぇ…

マジで地獄見せてやろうか…

僕は1円だってお前に払いたくは無いんだ…

堪えて放られた茶封筒を弁護士に渡す。

ダニが怪訝な顔をしている。

コメント