よし…
勝ちが見えた…
源次にゴトをさせて、月に、4、50万円の回収しかして来なかった段階で、他のシノギなど回せない事は既に分かっている。
僕がダニに、しようと思っていた話しは、源次の買い取りだった。
しかし、僕が源次を買い取るなどと言えば、高額な請求をされる。
身代わりなど有り得ない。
少ない札束で、横っ面を張り飛ばす事に決めていた。
「源次さんを普通の仕事で使いたいってトコがあるんだけど、どうですか?先に少し金が取れます」
ダニは驚いた顔をしながら言った。
「何の仕事だ?少しっていくら?」
「そっちには200万。取れるのは400万だけど、半分僕が貰いたいんです。口利き料で…」
ダニの目付きが変わった。
今まで僕が、ダニから感じていた重みが消えた。
やっぱりコイツもクズだ…
「おい、おい、源次にはまだ1600からの借金があるんだぞ。200って何だよ。眠たい話ししてんじゃねーよ!」
もっと怒れゴミ…
計算を狂わせろ…
「眠たい?どこがですか?どうせ源次さんなんて、この先、ゴト辞めたら金稼げないじゃないですか。僕だって少し金欲しいんすよ。元金は回収出来てるんですよね」
「そんな事、お前に関係ねーだろうが!!」
怒った振りをするダニの顔が酷く滑稽に見えた。
ゴキブリが、ダニの横でオタオタしている。
お前はホント駄目だな…
こう言う時は、兄貴の味方をするんだよ…
そう思った。
「そんなに怒んないで下さいよ。怖いから」
そう言いながら僕は通り掛かった店員にコーヒーのお代わりを頼んだ。
「お姉さんコーヒーちょうだい!ダニさんもいります?」
お前の脅しなど、僕に通じない事を知れ…
話しはそれからだ…
「あ!? あ〜 くれ!」
店員が全員のコーヒーを注いで行く。
「そっか〜 駄目か〜 良い話しだと思ったんですけどね」
ダニは怒りをかわされ押し黙った。
黙るんじゃねーよ…
この先、源次が、まとまったお金を作って来られない事は、余程の馬鹿でも無ければ分かるはずである。
400万に満たない元金で、ダニ達は既に常識では有り得ない金額を手にしている。
源次が、シボりカスな事は明白であった。
ダニは勿体を付けているだけだと僕は感じていた。
400万を全部自分の物にする方法が思い付かないのか…?
助け船が必要か…?
「まあ、無理にとは言いません。源次さんは今月で辞めて貰いますから。先方には断っておきますね」
ダニは僕を睨み付けたまま黙っている。
僕は、その目を、ボンヤリ見返した。
さてと…
今日はここまでだな…
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