対策 対応策27

しかし源次に、この方法は無理である。

源次は既に、どっぷりとゴトにつかっている。

警察に助けを求めづらい人間になってしまった。

下手な事をしてダニ達を刺激すれば、いくらゴトが現行犯とは言え、源次も警察の呼び出しを受ける可能性がある。

それはそれでウザい。

今後を考えると、なるべく警察には尻尾を掴まれたくはない。

多少のお金が掛かるのは仕方がないと考えていた。

源次の残りの借金は1600万円。

ダニに渡すお金は、元金分の400万円もあれば良い様な気がする。

いや…

なるべくもっと安く済ませる…

ダニが、間抜けな事に期待した。

指定されたファミレスへ着くとダニとゴキブリが既に待っていた。

待ち合わせの時間には、まだ2分程ある。

ヤクザは、基本、時間にうるさい。

僕は時間など、どうでも良い。

はなから相入れないのである。

時間が守れるようならば僕はゴト師など確実にやっていない。

そこが守れなかったから僕は世の中から弾き出たのである。

それは、この時も余り変わっていなかった。

この時はタマタマ早く着いただけである。

ヤクザごときを相手にする為に、タマタマとは言え、時間通りに着いてしまった事に、少しイラついた。

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ファミレスの奥の席でゴキブリが手を上げて僕を手招きしている。

ゴキブリの横には、余りヤクザらしく見えない、大人しそうな30代中頃の男が座っていた。

コイツがキレやすいのか?

見た目からは想像出来なかった。

「こんばんは」

それだけ言って僕は席についた。

挨拶が出来ない訳では無い。

する気が無いだけである。

僕がへりくだる理由は、どこにも無い。

ゴキブリが慌てたように言った。

「遅かったな!」

「嘘こけ、遅く無いだろ。これでも頑張ったんだよ」

ダニが笑いながら口を開いた。

「遅くないよな。時間通りだ」

やばい…

馬鹿じゃない…

見た目が大人しいのにヤクザをやっている事自体が才能である。

更には、素人と接する時に脅しから入らない。

自分に自信があるのであろう。

勝てるか…?

不安がヨぎる。

軽い自己紹介と、世間話しをした後で、源次の話しになった。

「そうか〜 ゴトも厳しいのか〜 源次を使ってくれて結構助かってたんだけどな」

「まだ借金ありますよね?一応、源次さんに聞いて来たけど」

「まだ有るな。今日は、なんかソノ話しなんだろ?」

「はい。源次さんはゴト辞めたら借金返せるんですか?なんかやらせる事あります?」

「今んとこ無いな」

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