対策 対応策22

既にスネ夫には、データー取りを頼んでいたのでカードを受付機に通すだけなら簡単な事であった。

「受付機に通すだけ?」

「はい、カードが使えても、使えなくても、使わないで戻して下さい」

「分かった… 先に一つ言っておく。僕が手伝う以上、出来上がったカードの値上がりは駄目だぞ。僕は雪ちゃんからカードを仕入れるから雪ちゃんに卸す時だけで良い。良いか?」

タナカは笑いながら言う。

「しっかりしてますね〜。分かってます。もし変造カードが出来上がったら、あなた達の値段は上げません。約束します」

何がしっかりだ…

当たり前の事だ、ボケ…

誰が、お前みたいな恥知らずの成金と、ボランティアで付き合う…

「分かった。明日の早い時間に全部受付機に通して来て渡す」

その後で少し変造カードの仕組みと、これからのゴトについて話した。

僕はボンヤリ聞いていたが、源次が黙ってシッカリ聞いていた。

たいした話しなど出るはずが無い。

僕がタナカを嫌っている事をタナカも感じた様であった。

それでも彼は大人であった。

帰り際に、オネーチャンの居る店に飲みに行かないかと誘われた。

うるせー…

「興味ない…」

それだけ言って僕は席を立った。

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外に出て僕と二人になると源次が口を開いた。

「あんな態度、駄目ですよ。少し大人にならないと」

うるさいな…

この前まで、ほとんど喋らなかったくせに…

源次は、最近では、口を開くと僕に説教をするようになっている。

半年程前に、僕は源次の借金を無くしてやっていた。

その日は源次と僕で変造カードゴトをしていた。

前日に源次が手下数人にイジメられているのを見たので、話しをしたかったからである。

源次は元々、一流企業に勤めるサラリーマンであった。

それが借金の返済の為にゴトをやる事になった。

そんな人間が、質の悪い手下達の中に入れば、良いカモにされる。

それを僕は早い段階で気付いていた。

しかし放っておいた。

一々そんな事まで面倒を見ていられない。

犯罪者の世界は、弱ければ食い物にされるのが普通の事だと僕は思っている。

負けたくなければ、周りを黙らせる何かを持たなければいけない。

源次は、喋らないくせに、人の良い面があった。

妄爺の店などで、やった事がない麻雀を手下達に誘われるままに付き合う。

当然カモられる。

「なんで知らないのにやるんだ?」

「付き合いも大事ですから」

そう源次は言った。

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