対策 対応策21

消えた150万円は、間に入った人間のポケットの中である。

大体が2年契約であった。

ズサンな契約だと偽装を受けた方の人間は損をする。

相手が2年で離婚届けを出さずにバックレるのである。

逃げられた場合、失踪届けを出して離婚を認めて貰うまでに、更に数年掛かる事になる。

受ける側の人間は、契約が切れる度に、2度、3度と偽装結婚をする事が多い様であった。

現在では偽装結婚に対して厳しい対応が為されている。

容易では無い。

これらの戸籍の売り買いは様々な物があった。

変造カードゴトが出来なく為って、他の悪さも出来なく為った奴らが多数絡んで行くようになる。

僕の元を去った手下の中にも数人居たが、みっともない話しである。

たった、数十万円で、見知らぬ外国人が戸籍に消えづらい傷を付けるのである。

へたをしたら、一生物である。

変造カードゴトが終わり、他の危険な悪事にも移れない手下達は、自分の戸籍を切り売りしていた。

最後は誰かに利用されてゴミクズ扱いを受ける。

それが、ゴト師の成れの果ての、一つの形であった。

彼らの多くが、現在もツライ現実を生きている。

幸せに暮らしている奴を僕は知らない。

スポンサーリンク

タナカは、くだらない冗談を交えて世間話しを始めた。

まるで日本人の様な発音の日本語でタナカは喋る。

結婚が偽装では無く、本物かもしれないと少し考え直した。

昨日行った、銀座の高級クラブの女の話しや、驚く程高い焼肉屋の肉の話し…

自分が乗っている高級車の話し…

着ているスーツの値段…

時計の値段…

クソガキ!

いい加減にしろっ!!

お前の成金話しに付き合う程、暇じゃねー!!

「おい、タナベさんさ〜そんな事、どうでも良いからカードがどうなって行くか説明しなよ…」

「いや、田中です」

知ってるわ…

お前に興味が無いだけだ…

「僕達が何をすればカードがすぐ出来る?ある程度、出来るか出来ないかの説明がないと、データー取りはだるいんだけど。てか出来そうなの?」

「データーさえキチンと取って貰えば出来ますよ」

自信満々にタナカは言って封筒を10枚程出した。

封筒の中身を一つづつ出していく。

全てがパッキーカードの様に見えるが、中には見た事が無い、デザインの白いカードもあった。

一つの封筒には、カードが、10枚程づつ入っている。

タナカが言う。

「これ全部、受付機に通して来て貰いたいんです。封筒とカードに番号を書いてありますから順番に。出来ますか?」

コメント