雪ちゃんは顔の広い仲介人であった。
彼女が取引している変造カード工場は一つでは無い。
変造カードを作る機械は数万枚のカードを作るとメンテナンスが必要だと言う。
メンテナンスには数日掛かる。
すると当然の様に変造カードの供給は止まる。
例え数日とは言え、供給が止まれば、ゴト師達は変造カードの仕入れ先を探す動きをする。
それは客離れを呼ぶ。
ドコの変造カード工場も、お客さん集めに必死である。
値段交渉に応じる新参の工場すら、この時期は沢山あった。
客離れを起こさせない為には、安定した値段と供給が必要である。
更にもう一つ。
エラーの少ない変造カードの質も重要は条件である。
全ての条件を満たしてゴト師に変造カードを供給する為には、数軒の変造カード工場と仲良くなければ為らない。
そこへいくと雪ちゃんは顔の広い優秀な仲介人であった。
変造カードの中のエラーカードの比率はいつも一定と言う訳では無い。
エラーが出る時は固まって出たりする。
ホールで打っている僕達は、いくらサンドの鍵を持っているとは言え震える。
はっきり言って、エラーが連発すれば、ションベンをチビリそうになる。
顔の狭い仲介人や、質の良くない仲介人は、エラーがヒンシュツしようが知らん顔をする。
雪ちゃんはカード工場とのアツレキが生まれても、いつもすぐに対応してくれた。
エラーの出やすいカードを引き取り、エラーの出にくいカードを他の工場から仕入れて来るのである。
普通の世界ならば当然の事ではあるが、変造カードゴトの世界ではマレな事である。
カード屋に泣かされているゴト師の方が圧倒的に多い。
僕がリュウを捕まらせない様に動いた一つの理由であった。
何もなければリュウなどポイである。
ポイポイである!
雪ちゃんは、この時、自分の顔の広さを使って、データー取りを必要としている、新参のカード工場を見つけ出して来た。
このカード屋との出会いが、変造カードゴトが本当の終わりを迎える時に、〇国人と僕との争いを生む原因に為って行く。
しかし、この時は、全くそんな事には気付いていない。
ただ雪ちゃんに感謝していた。
雪ちゃんが言う。
「私が1番仲良くしてる工場は、直接は絶対嫌だって言うの。だから他の工場に聞いたんだけど、一カ所だけデーター取りをお願いしたいって所があったアルヨ」
そして僕は、工場の人間と直接会う事になった。
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