対策 対応策14

僕が最初にゴトに手を染めた時の目標は、一千万円稼ぎ出す事であった。

それ以上の欲望は全く無かった。

一千万円稼ぐなど、不可能だと思っていた。

それだけ稼げたら、足を洗おう…

でも、きっと、すぐに捕まる…

そう思っていた。

それが、たいして危険な目にもあわずに、短い期間でアッサリと達成された。

辞める事を辞めていた。

五千万円稼いだら辞めよう…

アッサリ達成された。

一度捕まるまで続けよう…

しかし捕まらない。

その内、見知らぬ奴らと一緒にゴトをする様になっていた。

なぜか僕が指示をしている。

簡単に辞めるとは言えなくなった。

言うのは簡単だったが言わなかった。

変な責任感の様な物が目覚め始めていた。

そして僕は、辞め時を見失って行った。

次の犯罪に手を出せば、また同じ道を辿る。

一度ゴト以外の犯罪に手を出せば、もう歯止めは効かない。

どんな汚い事でも、多分僕は、やるようになる。

確実に悪党の頂点を目指そうとする。

目指しはするが無理であろう。

ヤクザに酷い目にあうか、警察に捕まり重い刑を受けるか…

どちらかの結末になる様な気がしていた。

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人が決めたルールなど、どうでも良いが、自分が決めたルールは意地でも守ろうと決めた。

あらためて、ゴト以外の悪事は、やらないと頑なに自分に誓った。

しかし、手下達を、そのルールで縛り付ける事は、出来ない状況に為って行く。

受付機が設置されたら、稼げなく為る手下が多数出る事が予測出来たからである。

「クレジットカードの買い物、なんか金になるらしいですよ。まだ安全らしいし。友達がやってるけど結構金になってます」

数人の手下が、僕に同じ様な事を言って来る様になった。

「そうか… やりたいなら止めないぞ。僕は関わるのも嫌だ。自由にしろ。ただ、一度僕の所から抜けたら、戻る事はさせない。抜けるかどうかは自分で決めろ。嫌がる奴を付き合わせるのは絶対やめろ。無理矢理引き抜いたのが僕に知れたら覚悟しろ。その時は、お前は敵だ。分かったな?」

抜ける奴は、何を言っても抜けるだろうと思っていた。

それで良い…

変造カードが終われば、僕が全員の面倒を見る事は出来やしない…

自分の器量の無さを知った。

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