対策 対応策12

この時期の、一年前辺りから、僕の所には、ありとあらゆるゴトとは無関係な悪事の話しが舞い込むようになって来ていた。

それを僕は、面白おかしい物語として聞いていた。

余りの、多種、多様な犯罪の、種類や数には、驚くばかりである。

テレビなどで騒がれているのは、その一角に過ぎない。

騒がれると言う事は、バレたと言う事である。

バレずに潜航する犯罪の数を思う時、この国は犯罪王国の様に感じてしまう。

油断の出来ない国である。

それらをやる気など、僕には、はなから無い。

僕の敵は、パチンコ業界だけである。

腕のたつゴト師の手下達は、僕と同じ様に、ゴト以外の悪事を避ける傾向にあった。

しかし腕の劣る怖がりなゴト師達は違う。

楽に見える道へ簡単に流れる。

全員が、変造カードを始めた時に、良心などは捨てている。

その後、アブク銭を掴んだ事で金銭感覚も狂っている。

いまさら普通の暮らしには戻れないのである。

まだ稼いでいない…

彼らは、そう思い続けている。

しかし、彼らの様に、良心を捨てた事以外に取り柄がない奴らは、どこへ行っても、取り分が安く、捕まる可能性が高い悪事しか、回っては来なかった。

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金になりさえすれば何でもやる。

それが例え凶悪な犯罪だとしてもである。

それらの現象は、僕の手下のゴト師達だけではなく、全国の変造カードゴト師達にも共通していたのではないだろうか。

それまで、組織化していなかった細かい犯罪が、世の中にあぶれ出た変造カードゴト師達によって組織化して行く。

彼らは、良心を捨てただけの、技術や智恵など持たない、ただの怖がりである。

落ちこぼれが作り出す世界が、聞き苦しい犯罪で溢れるのは至極当然であった。

現代に繋がる代表的な犯罪に、オレオレ詐欺などがある。

馬鹿の一つ覚え。

良心さえ捨てれば、智恵などいらない。

誰かが作ったマニュアルに乗れば良いだけである。

馬鹿だから何度も同じ事を繰り返す。

自分が悪党だと信じ込んでいる。

ヘッポコで、内心いつもビクビクしているくせに。

お前たち…

震えは隠せる様になったのか?

抜けた頭が少しは回る様になったのか?

まあ、無理だな…

ビビりは、どこまでいっても、ビビりでしかない。

馬鹿は死んでも治らない。

ゴミ野郎共を育てて、世の中に解き放ってしまった僕に、罪が無いとは言わない。

僕には、そこまでの予測が出来なかった。

ゴト以外の悪事はやらない…

しかし僕は、既に犯罪の種を植えてしまっていた。

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