ふた月目に入ってすぐに手下の一人が方針転換したパチンコ屋に捕まった。
彼は僕が教えた事を、ダメ元で店長らしき男に言った。
結果は、僕の思った通り警察を呼ばれる事無く、即座に帰らされている。
やはり僕は天才である…
調子にのった。
手下達を集めて偉そうにしてみた。
「ほら、見ろ!僕の言う通りじゃねーか!お前らは黙って僕の言う事聞いてりゃ良いーんだよ!」
「たまたまだろ…」
「危なかったらしいよ…」
「偶然だよ…」
彼らはなぜか僕を認める事を嫌う様であった。
ごみクズ野郎ー!!
しかし彼らも、どこかで僕の言った事を信じた様であった。
使われる変造カードの枚数は減る事無く続いて行った。
受付機設置まで、一ヶ月を切った頃、一本の電話が僕に入った。
「もしもし。〇〇法律事務所の当番弁護士で〇〇と申しますが…」
ん!
当番弁護士!?
その弁護士は、僕の名前を確認すると言った。
「小池〇〇さんて方はお知り合いですか?」
は?
小池?
誰だ?
サンゾクの元店員で、ハーネスゴトを一緒にやった、あのウンコマン小池であった。
あの小池だと言う事を確認するまでに少し時間が掛かった。
僕の頭の中に、小池が捕まると言う事は、カケラも思い浮かばなかったからである。
本名なども覚えてはいなかった。
弁護士との話しの中で、歳格好や顔つきなどを聞いて行くうちに、あの小池だと気付いた。
弁護士は言う。
「パッキーカードと呼ばれる、パチンコ屋さんで使用されるカードの変造カードを使用して、警察に逮捕されました」
え!?
なんで小池が…
信じられなかった。
小池はカードを売るだけしかしていなかったはずである。
自分で打つ度胸など、ありはしないと思っていた。
「そうですか… いつですか?」
昨日の夕方だと言う。
弁護士は、お前もグルだろと言わんばかりの口ぶりで細かい説明を始めた。
変造カードとは、なんであるかの説明までし始めた。
それらを僕は黙って聞いた。
この先、小池をどうするかだけを考えていた。
見捨てるか…
助ける約束などしていない。
小池は、ただの変造カードを売り付けているだけの客である。
そもそも何故、僕に電話をしてくるんだ…
カードの取引はしていたが、間に人を立てて居たので最近では会ってもいない。
逆に、僕の連絡先を、人に勝手に教えるなど、ぶっ飛ばしもんである。
放っておいてもすぐ出られるだろ…
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