全員が、1、2件は見逃している、パチンコ屋を知っている。
普段は、仲間だとは言え、それらの店を、教えあったりはしない。
入り込むゴト師が増えれば増える程、危険が増して潰れるのが早くなるからである。
受付機が付くと発表される前までは、一人のゴト師が、2、3件は、そう言う店を持っていた。
しかし発表後には、ガクンと、その数を減らしている。
保身に走るパチンコ屋の数は驚く程に多い。
手下達から聞き出したパチンコ屋を、10日程掛けて巡り、15件程、現時点では安全だと思える店を絞り込んだ。
しかし、この先は分からない。
いつ方針転換をするか知れた物では無いのである。
そんな方針転換を許す積もりは無い。
手下達には、スネ夫が統轄する三軒の店を中心に最後のゴトをやらせる積もりである。
ただ打たせるのでは無く、完全に玉抜き中心でやらせる。
お店には、一人で入らせ、30万円程を抜かせる。
一軒に5人のローテーションでやる。
手下の取り分は少し多めに渡したので12万円前後であった。
あいた時間に聞き取り調査したパチンコ屋で打たせる。
方針転換をされたら、捕まる可能性は当然ある。
手下達に捕まった場合の切り抜け方を教えた。
保身に廻った店側の思考は想像出来る。
変造カードが終わる以上、この先、ゴト師との目に見えない繋がりなど、無駄と考えているのであろう。
逆に迷惑以外の何物でもない。
この先も続くカード会社との関係を修復しておきたいはずである。
変造カードを、これまで見逃していた事により、カード会社からの注意や警告が来ていたのであれば尚更であろう。
ならば、パチンコ屋がやられて1番困る事を、切り抜けの材料にする。
「もしも捕まったら絶対抵抗するな。堂々と捕まれ。事務所に連れ込まれたら、その中で1番上の人間に、話しが付いてる店だと聞いたから変造カードをやりに来たってハッキリ言え。態度を偉そうに言うのはまずい。けど、した手には一切出るな。否定されても、警察には、そう言うって言い張れ。見逃していたのは間違いないって言い続けろ。相手を、少しでも良いから怯ませろ。最後に、証拠も有るとハッタリを言え。警察に全て喋るって言え。それで帰れる。多分な… 最悪、警察に突き出されても、暴れて無ければ裁判までは行かずに帰れる」
店側は警察やカード会社に疑われる事すら嫌うはずである。
その為に、今さらゴト師を捕まえる事に方針転換するのであろう。
イチ抜けたは許さない…
全体重を掛けてぶら下がる…
犯罪に加担した事を認知させて脅かせば、一般人など、すぐにスクみ上がる。
震えた方の負けだと僕は考えていた。
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