「探せばなんか新しいゴトは出て来るかもしれない。でもカードよりは確実にキツイぞ。ギンパラの電波ゴトも出来なかったお前らには多分無理だろ。仕事量が減った時、僕は、お前らを優先に使う事はしない。無理してゴトを続ければ、お前らのほとんどが捕まる様な気がする。自分の根性と技術を少し振り返りな…」
20人を越える男達の恨みのこもった視線が、閉まった妄爺の店の中で僕に集中する。
ウザい…
「捕まって、良い事なんて何一つ無いんだ… しがみ付くな。最後の金で別の道を探せよ」
いくら言っても彼らの不満の声は消えなかった。
馬鹿な奴らだ…
好きにしたら良いや…
僕はもう知らない。
救い様の無い馬鹿は、捕まるまでやれば良い。
「だったら好きにしろ。ギンパラ組より根性があると判断出来たら何かのゴトがある時は教えるよ。最後の荒稼ぎは、お前らに頼まない。使えるギンパラ組を使う。へたれを何も無いのに優先で使う訳にはいかないからな。人が足りない時に声掛けるよ。今回を最後にして生活を変えたいと思う奴だけ残れ。解散して良いぞ」
不満を口にする奴が数人いた。
僕は彼らを睨みだけで追い払った。
最終的に妄爺の店に残った奴は15人程であった。
彼らは自分の限界を感じていたのであろう。
ここ数ヶ月で6人もの仲間が捕まっている事に不安を感じていたのでは無いだろうか。
元々、根性の微妙に無い奴らばかりである。
賢明な選択をしたのでは無いだろうか。
賢明…
それは、やはり犯罪者に向かないと言う事である。
残った奴らの中には、人として付き合うならば、仲良くなれそうな奴らが多かった。
出来れば捕まらずに他の道を探して欲しいと思う奴らばかりであった。
少し間抜けな奴…
いつも人を笑わせてばかりな奴…
妙に僕を崇拝している奴…
家族を大事にしている奴…
真面目にゴトをしている奴…
借金地獄からの脱出をはかる為に必死な奴…
それら全ては、ゴト師の才能とは無縁の物ばかりであった。
「結構残ったな… よし、任せろ。お前らは安全に引退させてやる。金も、なるべく多めに稼げるように考える。文句は一切言うな。ウザい。分かったか?」
全員が、めいめいに頷いた。
全員から聞き取り調査をする。
「今、自分が入り込んでいる、1番安全な店の状況を教えろ。その店の安全を僕が確認に行く。使える店なら皆で使う。全員が協力すれば必ず安全に終われる」
そして全員から、安全だと思われるパチンコ屋を聞き出した。
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