スネ夫を、だまくらかして納得させる為に、適当な思い付きを口にしただけであった。
しかし自分で言った言葉の中に答えがある事に気づいた。
警察の内偵は3ヶ月は掛かる…
そうだ!
今から疑われたとしても、僕達を捕まえる為の内偵は、間に合わないのでは無いか?
本当に、好き放題出来るのでは無いか?
少し黙ってカード会社の、今、置かれている状況を一人で考えた。
予測と想像の範囲を越えない。
でも…
イケる…
捕まりは無い!
それが僕の判断であった。
最終的に、タケコブタがどうなるのかは分からない。
サンゾクの様になるかもしれない。
それはそれで構わない。
僕達は捕まらないで済む…
よし!
やれるだけ、やってみよう!
退職金がわりだ!
頭の中で、変造カードが終われば、ゴトを続けられなくなるであろう手下達の人数と顔を思い出した。
20人から30人…
コイツらを中心に、やろうと決めた。
僕が勝手に、最後と思い込んだ、カード会社との戦いが始まる。
スネ夫の表情の中に、僕を疑った感じは見えない。
安全に抜けると思わせる方法を、僕はスネ夫に思い付きで適当に言った。
サンゾクや海賊でのゴトが頭をヨぎっていた。
「抜く金額を単純に増やす。でも万が一の為に、打ち子の人数は減らしてやる。少ない打ち子に玉抜きだけでカードを使わせれば間違っても捕まる事は無い。全部僕に任せとけば良いよ。上手くやってやる」
「分かりました。お願いします!」
スネ夫はゴト師の僕の言葉を信じた。
スネ夫の店が、カード会社に目を付けられる可能性が急激に上がった…
しかし、この時の僕の予測は、良い方にハズレる。
変造カードは、3ヶ月を過ぎても、ゴト師達の根性や、変造カード工場の技術によって、続いて行くのである。
この時点で、そんな事は知らない僕は、最後の荒稼ぎに出る。
ゴト師が続けられないであろう手下達を集めて言った。
「お前達は、根性とか技術が足りないから、カードが終わったら真面目に働きな。先のゴトは無い。だから退職金がわりにマトまった金を掴ませてやる。それで終わりだ。分かったか?」
不平、不満の声がもれる。
「なんかあんだろ!」
「残る奴はなんだよ!」
予想していた不満の声ばかりであった。
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