僕はアッサリ次のゴトを立ち上げる事を棚上げした。
稼げる時に稼いでおく。
先の金より今の金。
当然の思考では無かったか。
最初に火がついたのは、スネ夫の店のタケコブタである。
スネ夫が言う。
「終わりですね… どうしましょうか?」
「そうだね。最後に荒稼ぎしよっか?今更カード会社も捕まえたりしないでしょ。安全な方法はあるよ」
スネ夫は、この時、グループにもたらす利益を上げた事により一つ出世していた。
全て変造カードのお陰である。
僕はスネ夫の利益になるゴトを続けて来ていた。
信用は絶大である。
何一つ、ここまでスネ夫の迷惑になるような行為はしていなかった。
それは決してスネ夫の為だった訳では無い。
ただ利害が一致していただけの事である。
利害が相反すればスネ夫の店など倒すだけの存在である。
最後の荒稼ぎに安全な方法など思い付いていなかったが、店側の利益になるゴトは、これが最後だと思っていた。
先が無いのであればタケコブタが潰れても構わない…
抜けるだけ抜く…
信用などいらない。
全て現金化しよう…
そう思った。
突然ゴト師を捕まえる事に決めたパチンコ屋と、僕の思考は同じであろう。
どちらかと言えば僕の方が酷い。
スネ夫とは、何度も食事をしたり、飲みに出掛けたりしていた。
しかし、どんなに仲良くしていても、僕の中で、スネ夫は鴨でしかなかった。
彼は、僕に偉そうな態度を一度も取った事は無い。
いつも下手に出て来ていた。
しかし、腹の中が見えていた。
お前達を使ってやっている…
匂い立つ嫌な香りが消し切れていない。
犯罪者だと言う事を自覚している僕は、一般人に使われるのが気に入らない。
最後には喰い潰そうと初めから決めていた。
その時が来ただけの事である。
スネ夫が僕に聞いて来た。
「どうやれば安全にお金になるんですか?」
「どうもこうも無いよ。これから受付機が付くまでの間は、いくら変造カードを使ってもカード会社は何もしないよ。完全に見逃してるんだ」
そして6人の手下が逮捕されて、すぐに釈放に為った経緯を、僕の想像と作り話しを混ぜて話した。
「カード会社は、これ以上マスコミを騒がせる事はしない。絶対見逃す。間違いない。残り3ヶ月じゃ警察は内偵も出来やしない」
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