新しいゴトを探す…
簡単な訳が無い。
全国に居る、全ての変造カードゴト師が、同時に慌てて新しいゴトを探すのである。
ハッキリ言って無理である。
僕のあてはリュウだけであった。
しかし、このドザエモンは、言った時には出さないのである。
嫌なタイプのドザエモンであった。
とりあえずリュウに聞いてみた。
「この先なんかある？無いよな？」
分かってんだよ…
無いって言うんだろ…
「なんか探すヨ…」
やっぱりね！！
期待は脆くも崩れ去った。
こんにゃろー！！
さてどうするか…
僕の知っているゴトは、数少ない。
ハーネス…
裏ロム…
この二つで行くか…
てか、これしか無い。
変造カードに比べると儲けが余りにも少ない。
やる気も出ずに僕はダラダラと動き出した。
しかしすぐにダラダラしていられない状況になった。
変造カードの方が、突然忙しくなったのである。
残り３ヶ月で変造カードが終わると誰もが思った事が原因である。
これまで変造カードを見逃していて、カード会社に目を付けられていた店の、ゴト師への対応の変化が、一つの原因であった。
カード会社に対する言い訳の為に、最後ぐらいはと言う感じで、パチンコ屋は突然ゴト師達に牙を剥いた。
はっきり言って汚い。
持ちつもたれつの関係を一方的に破棄する。
確かにソレは店側の自由であろう。
その店側の変化に、ついて行けないゴト師は、簡単に捕まって行った。
そして僕の怨みを色濃く買う事になる。
それを逆恨みだと、僕は思っていない。
絶対仕返しはする…
そう強く思った。
この時期に、手下が６人捕まった事を記憶している。
一気に捕まるゴト師達が増えた事が原因なのか、警察の対応は甘くなった。
多分、被害者のカード会社が訴える事を辞めたのであろう。
窃盗は、被害者が訴える事によって初めて罪が確定する。
訴訟ばかりをしていられない。
そう言う事では無かったか。
じきに変造カードゴトは終わる筈なのである。
６人は、捕まってから数時間から数日以内に釈放になった。
もう一つ忙しくなった原因がある。
変造カードが終わると知って、最後の荒稼ぎをしようとするパチンコ屋が増えた事である。
見逃すなどと言うレベルでは無い。
ゴト師に声を掛けて来て、やれと露骨に言う店なども出始めた。
人の欲望が渦巻く、そんな季節であった。
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