両方のお店から抜いた金額は僕の予想より少し多い一千六百万円程である。
体の痛みさえ無ければ、随分と簡単なゴトであった。
僕も両替に混ざれば僕の取り分は更に増えた筈である。
前々日の喧嘩は、損害ばかりを大きくしていた。
しかし一つだけ、組織の体制をハッキリ変える出来事があった。
5上の男の反逆の件である。
僕が数日前にレシ担男を病院送りにした事が手下達の間で噂に為っている。
ピンが誰彼構わず僕の武勇伝を単語のみのカタコトで言い触らした事が原因であった。
相手は山の様にデカイ、〇国人の乱暴者と言う事にオヒレが付いて為っていた。
ピンはレシ担男が大嫌いだったと言う。
〇国に居る時から仲が悪かったそうである。
ロクデナシをまとめる為には、絶対に武力は必要である。
この時まで僕には、ほんの少ししかソレが無かった。
手下達を、カードの値段が安い事などで言う事を聞かせていたが、多くはハッタリで縛り付けていた。
ソコに噂とは言え、武力が加わった。
この時より、僕は、嫌いなハッタリを使わなく為って行った。
組織が、組織の形を取り始めていた。
5上の男が、数日後に、会って謝りたいと言って来た。
僕の体から筋肉痛は、ほぼ消えていた。
彼の猫撫で声は僕の神経を酷くイラつかせた。
「お前に用は無い。僕の周りを二度とうろつくな。見掛けたら殺す。それでも謝りたいって言うなら会ってやる。でも、その場で喧嘩だと思えよ。お前だけは絶対に許さん。場所ドコだ?僕は一人で行く」
しどろもどろで言い訳する5上の男に言った。
「お前の様なクソ虫と、お喋りする積もりは無い。場所ドコだ?」
木刀を持って行こうと決めていた。
絶対負けない自信があった。
木刀は簡単に折れる等とよく聞くが、剣道の経験者が振るう木刀は簡単に折れはしない。
バットの様に振れば簡単に折れる。
キレ爺が若い衆を殴って、よく折っていた。
なぜ折れるのか不思議でしょうがなかった。
見ていて気付いた。
素人は、相手に木刀が当たる瞬間に、両手で木刀を絞り込んでいない。
振り回し過ぎで木刀に負担を掛け過ぎなのである。
ソレでは相手に衝撃も伝わりにくい様に感じた。
打つ所も悪い。
急所を小さく強く打てば木刀は結構な武器であった。
5上の男は、小さい声で場所だけを言った。
「すぐ行く。人数揃えて来いよ。お前一人じゃ1分持たない。分かったな」
しかし、5上の男達が、待ち合わせ場所に来る事は無かった。
コメント
お盆期間中も更新ありがとうございます。
パチスキーさんこんばんは!こちらこそいつもありがとうございます。
皆さん暑い日が続いていますがいかがお過ごしですか。ご自愛下さい。