手下が言った。
「店員達が、換金所の前に立って換金する奴らを見てたんですけど… 良夫ちゃんと婆さんが、列から引っ張り出されて尋問されてます…」
マジで…
「皆は? 換金出来てんの?」
「順調みたいですよ。皆は持ってく景品が、そんなに多くないですし…」
「なに…? 良夫ちゃん達は、一杯持ってんの?」
手下は呆れた様に言う。
「一杯どこじゃ無いですよ! 袋、山盛り二つ持ってますよ…」
何してくれとんだ…
どうするか悩んだ。
僕が戻った所で、何も出来ないし、そもそも、間に合わないであろう。
仕方なく、根性のある手下二人に電話を掛けた。
「ちょっと良夫ちゃん達助けに行ってくれよ。一人、2万払うから」
「良いっすよ。何すりゃ良いんすか?」
良夫ちゃん達の、今、置かれている状況を話した。
その後に指示をする。
「孫の振りでもして二人に近づいて、自分達が預けた景品も交ざってるとでも言い張って。多分それでも、しつこく言って来るだろうけど、ゴネ捲くって切り抜けて…」
「マジっすか!? 二万で?!」
「何だよ… もっと減らすか?」
「いや、いや! 違うでしょ!」
「違くねえ… まあ頼むわ。その内、楽させるから…」
手下は、更に値段を吊り上げる為に、ゴネ始めた。
「時間がねぇんだよ。やるのか、やらないのか早く決めろ…」
渋々頷いた。
ゴネるのが得意な奴らである。
これくらいの事は、簡単にコナすであろう。
電話を切って、先程の手下に電話を掛けた。
指示をする。
「換金所の近くに居る奴らに言ってくれ」
「何をですか?」
「良夫ちゃん達の横通る時に、店員達に対して、ひと言づつ文句タレろって。出したらイケねーのかとか、全然出ねーくせにとか、客をなんだと思ってんだとか… デカイ声で… 助けたりは良いから。適当で良いし。嫌なら良いし。頼むわ…」
手下は笑って言った。
「分かりました。皆に言っときます!」
「うん、悪いな」
電話を切った。
よし…
どうにかなんだろ…
僕は、手下二人に払う、4万円の方が心配であった。
良夫ちゃん達から取れっかな??
なんか無理っぽい…
中型店では、中華ソバがレシート作りを、まだやっていた。
どんだけやる気だよ…
両替出来んのか?
そう思った。
既に、予定の100万円分は超えている。
レシート作りと同時に両替もしている。
店側が、気付かないのが不思議であった。
グループ自体が、間抜けなんだな…
僕は、この時の感想を、強く記憶した。
コメント