終わった順番に中型店に行かせると言った事が効いた。
皆が我先にとカウンターへ向かう。
余りの連続両替に、少し焦りはしたが、勢いの付いている彼らを止める気には為らなかった。
誰かが危険な目に遭うまでは、これで良いと思った。
8時を少し回った頃に、ゴト師を引き取りに来た警察は、若い男を引っ立てるようにパトカーに乗せて、走り去ったと言う。
大型店でのレシートゴトは、このまま順調に終わると思った。
8時30分を回った頃にはレシートは、ほぼ無くなっていた。
しかし大型店が遂にレシートゴトに気付いた。
大型店のカウンターが騒ぎに為っていると、手下の一人が、電話を僕に掛けて来た。
たいした事では無い。
白シャツ達が、カウンターの中を右往左往しているだけである。
手下達に指示をして残りのレシートは無理をするなと伝えた。
それよりもプールしている景品の換金を急がせた。
閉店間際は換金所が長蛇の列に為ってしまう。
店員が出て来て、聞き取り調査などされたらウザい。
間抜けな、この店なら、やりかね無い。
良夫ちゃん達を車に呼んだ。
「両替行けるけど行く?」
「行きます!」
二人声を揃える…
「カウンターが騒ぎに為ってる。多分二人なら平気だよ。知らんけど。僕は動けないから助けたりも出来ないよ。それでも行く?」
「行きます!」
はい、はい…
少しは物を考えようね…
まあ、二人なら多分、大丈夫であろう。
変造カード使用もバレてはいないと思っていた。
バレていれば、若者より先に捕まっていた筈である。
この先のレシート交換は見た目が1番重要であろう。
見た目でしか捕まえる事が出来ない店に対しては、まさかと思われる人間の勝ちである。
しかし、二人を行かせる1番の理由は、ただ、うるさいからであった。
「怖がって行けないって奴らからレシート貰って行って来て。取り分は3割のままだよ。嫌なら他の奴に行かせる。良い?!」
先に釘を刺した。
値段交渉などされたらダルい。
不満げな顔を二人は見せて何か言おうとした。
口は開かせん!
「嫌なら僕が行くから良いよ! こんな簡単な両替ねーんだから。帰って良いよ!」
二人は慌てて声を揃えて言った。
「行きます、行きます!嫌じゃ無いです!」
よっしゃっ!
最後に僕は勝つ!
体から、痛みが少し、消えたような気がした。
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