大型店にそろそろ警察が来る事が予想された。
捕まったゴト師が、暴れていた以上、即帰らされるだけとは考えづらい。
僕達のレシートゴトには影響無いとは思うが断定は当然出来ない。
早く終わらせるに越した事は無い。
ここまで、レシートゴトは全て順調である。
新しく増えたレシートも、100万円と少ない。
このまま順調に行けば時間内に余裕で換金まで終わる筈である。
それでも、一人に持たせるレシートの金額を上げた。
出来る所まで両替出来れば構わないと思っていた。
手下の一人にホール内の様子を見に行かせた。
その報告の電話が鳴った。
「なんか店員達が、必死に変造カードやってる奴、捜してますよ。店ん中歩いてるだけなのにジロジロ見られます」
うざいな…
やっぱり早く終わらせよう…
大型店は、更なる失敗を繰り返していた。
普通にパチンコを打ちに来て、店員に変な目で見られた一般のお客さんの気持ちを、どう考えていたのであろうか?
想像力と言う物が間違いなく無い。
無能の連鎖はまだ続く。
少し経つと、大型店の前にパトカーが到着した。
大型店に現れたパトカーは三台である。
普通、変造カードゴト師程度の引き取りは、パトカー1台で来る。
捕物では無いのである。
三台のパトカーは、どれもが、赤灯を派手に回していた。
店の前の通りは片側一車線の狭い道であった。
ターミナル駅から近い繁華街なので渋滞もしている。
あろう事かパトカーは、その狭い道に、三台並んで、赤灯を回したまま駐車した。
繁華街でのパトカーなど、この街では珍しい物では無かったが、渋滞を構わず停められたパトカーに、通行人も興味を持った。
あっという間に、黒山の人だかりである。
これには僕も少し怯んだ。
レシートゴトもバレたのかと不安になった。
しかし、レシートゴトはこの後も順調に進む。
なぜ三台ものパトカーが来たのかは、想像を越えないが、僕なりに理解している。
店側は、警察に通報する際に、捕物劇を大袈裟に言ったのではないだろうか。
それに警察は過敏に反応した。
パトカーを停めた位置が余りにも世間の迷惑であった。
緊急性を感じた通報には警察も必死に為る物である。
理由が何であれ、通報の仕方を間違った、店側のドジであった。
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