中華ソバとピンが車から降りた後も、後部座席には、なぜかバレた男が残っていた。
「お前、何してんの? どっか行けよ。用無いよ」
おどおどしながらバレた男が口を開く。
「すいませんでした…」
「謝らなくて良い。失せろ。目障りだ」
運転席の、ちょっとやそっとじゃ負けない男が口を開いた。
バレた男と普段から仲が良い。
「まあ怒んないでやってよ。5上の奴に無理矢理連れて行かれたみたいだから…」
どいつもこいつも…
「うるせぇ、お前も文句あるなら帰れ。動けるようになったら、お前ら皆ぶちのめしてやる…」
木刀さえ持てば何人来ようが負けない…
自信があった。
「いや… 俺はアンタを嫌いじゃないから喧嘩なんかしたくないよ。キンタマ潰されるのもお断りだし」
え?
なんで知ってる?
あ…
中華ソバ達が喋ったのか…
少し復権したか?
必殺技は、バレたかもしれないが、それはそれで面倒が減る。
出来ればハッタリで周りを黙らせる方が楽である。
しかし、このバレた男は、クビ確定であった。
バレた男に聞いておきたい事があった。
「お前、他の奴らに自分が捕まり掛けたの言ったのか?」
「え!? まだですけど…言ってくれて無いんですか?」
「なんで僕が言う必要がある? あんなゴミどもに用は無いんだ。仲間ならお前がすぐに教えるのが当然だろ。そろそろ誰か捕まるんじゃねーか。どうでも良いけど車からとっとと降りろ… お前は二度と僕の前に現れるな… 文句があるなら、いつでも掛かって来い… 僕は意外と強いぞ。 分かったら消えろ、クズ野郎…」
逆切れされたら負ける。
自信があった…
しかしバレた男は観念したように車を降りた。
あと三人…
ちょっとやそっとで負けない男に聞いた。
「お前も帰るか?」
「いや… 俺は…」
「だったら二度と余計な事抜かすな。分かったか?」
「分かった。すまん…」
ハッタリ成功であった。
ガードの為に、手下を10人程、中型店へ向かわせた。
この10人で両替まで全てやらせるつもりである。
彼らの中に一般ピーポーは混ざっていない。
全てゴト師である。
その中から二人人を選び、朝のガードの形を話して、今回のガードのやり方を教えた。
「適当で良い。なるべく中華ソバの近くに全員でいてやれ。少しでも店側に疑われたら中華ソバに教えて全員店出ろ。無理は絶対するな」
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