残りの大型店のレシートは残り時間を考えて両替させていた。
そこに新たに200万円分のレシートは少し厳しかった。
新規開店で換金所にお金が用意されている事は予想出来たが、僕達が持ち込むレシートの金額は、最終的に一千万円を越えるのである。
いくらなんでも、最後は店側に疑われながらの両替と換金になるはずである。
最悪、レシートを余らせるのも仕方ないとすら考えていた。
「200万作ったらどれぐらい余りそうダ?」
「分からんよ… 余らせないようにやるけど、後半は厳しいと思ってるだけだ。意外と平気かもしれないしな。悩むなら、とりあえず此処でレシート作れよ。両替のペース上げるから。様子を見ながら作って、駄目そうなら中型店行くんでどうだ?」
「そうだナ… そうするか!」
中華ソバは、既に自分で考える事を放棄している様であった。
一人で全て考えなければ為らない事に少し疲れを感じる。
お金など、どうでも良いと思い始めた僕がいた。
中華ソバとピンが大型店へレシートを作る為に戻った。
それから1時間程経った午後7時…
良夫ちゃん達が、やらかした。
大型店に変造カードを打ちに行った反逆者の一人から僕に電話が来た。
「すいません… カード、バレて店員に追い掛けられました…」
ブチッと何かが切れた。
「すぐ来い! てめぇぶっ飛ばすぞ!!」
怒りに任せて起き上がろうとした僕を、全身の痙攣が襲った。
悲鳴を上げそうな痛みに怒りは一瞬で消し飛んだ。
バレた奴が車に着いた時には、どうにか痙攣も治まった。
体に力を入れないように聞く。
「このクズ野郎… なにしてくれてんだ… 説明しろ!」
痛い!…
力がどうしても入る。
黙って聞く事に決めた。
「いや… 良夫ちゃん達が平気で玉抜きしてたから見逃してるのかと思って… 自分も少しやったんですけど… 店員に張り付かれました… でも、スキ見て無事に逃げ切れました!」
何が無事だ…
捕まれカス!
「他の奴はどうしてんだよ…」
「分かりません… 逃げるのに必死だった物で…」
コイツ…
仲間を見捨てた…
ゴトをしていればドジる事は当然ある。
防げない条件が重なり捕まり掛ける事も日常茶飯事である。
その際は、自分の安全を確保したら、即座に一緒の店に入っていた仲間に危険を知らせるのが当然であった。
コメント