ツルッパは不安そうな声を出した。
「そんなんで平気なのか? 助けるってどうやって?」
良夫ちゃんとは違い、頭が回るだけ、面倒な奴ではある。
「うるせぇ… 言われた通りに動けば良いんだ… 助ける方法は、もう手を打った。黙って行け!薄らハゲ!」
「薄らって何だ!」
薄らはウッスラだ…
他に、ねー!
「このまま電話切らないで、すぐ行けよ。行く前に皆に、これからレシート試して来るって宣言して行け。絶対に怯んだ態度は出すなよ。余裕な顔して宣言しろ。レシートなんかよりソッチが大事なんだからな! ビクつくんじゃねーぞ! 腹ククれ!!」
ツルッパの、アシスト自転車並に小さいモーターに電気が通った。
決して、エンジンでは無い…
「分かった! 死んでやる!!」
死なないよ…
大袈裟な奴…
笑わすなハゲ…
脇腹がツる。
ツルッパの、一人演劇が始まる。
電話の向こうで声がする。
「おう… ちっと両替まだ出来るか試して来っからよ。おめーらちっと待ってろや…」
柳沢シ〇ゴのモノマネの様に僕には聞こえた。
最後に【アバヨ!】とか言わないか不安になった。
「今から店入るから…」
そうツルッパは、僕に言った。
ツルッパは、僕が言った、絶対助けるを信じたのであろう。
しかし助ける方法など、ありはしない。
完全な嘘である。
彼は素直な男であった。
僕が良夫ちゃんやリュウを、無理な状況から助け出したと周りに聞いて、信じ込んでいた。
どこかの神か、何者かが言っている。
信じる者は救われる…
嘘であろう。
信じる者は騙されるが正解では無いか?
この時は、タマタマ助かっただけである。
何の問題もなく数分後にツルッパは両替を終わらせて店を出た。
中型店がレシートさえ有れば、まだ出来る事が確認された。
しかし、時間が経てば、どうなるかは分かっていない。
「大丈夫だったぞ!!」
聞いてたよ…
携帯から聞こえる鼻息がやけに荒かった。
闘牛か?
お前は?
「えばんなハゲ。あたりまえだ。皆の前で偉そうにすんなよ。普通の事を普通にやったって顔してろ… 今日はお前、両替もう良いから、ソコに待機な。日当は別に払う。後で中華ソバがレシート作りに行って、またやるから、レシートの管理だけやってろ。 皆はコッチにとりあえず来させてくれ。分かったか?」
「分かった! 任しとけ!」
ツルッパは、自分のやり遂げた事に満足しているようであった。
僕は深く、一つ息を吐いた。
コメント
お疲れ様です。
信じる者は騙されるが正解ではないか?
連載当時、この言葉に凄く共感したのを思い出しました!
わくわくさんおつかれ様です。
連載当時といえば10年以上前ですね。変わらぬご愛読本当にありがとうございます。