午後4時を過ぎた段階で、問題なく両替が出来ている事により、データー的に両替が途中でバレる可能性は低いと思えた。
データー管理はしていない…
大手は当然やっているのに…
店と防犯カメラだけが新しい…
防犯に力を入れていない様に感じた。
それは中華ソバのレシートを作るスピードにも現れている。
一千万円分のレシートを作り上げる時間は、隙を見ながらやって午後7時を目安にしていた。
しかし午後4時の段階で700万円分を越えるレシートを作り上げていた。
何一つセキュリティが機能していない。
しかしレシートに刻印されている時間は固まり過ぎである。
余りのスピードに何か良くない事が起こるのでは無いかと逆に不安になった。
僕は、出来過ぎな事にあたると不安になる。
常に思考はマイナスであった。
中華ソバを電話で呼び出して言った。
「スピード早くないか?舐め過ぎだろ」
「何か悪いカ?」
「いや… 分からんけど…」
腐っても相手は大手なのである。
何かあるのでは無いかと考え続けていたが答えが見えない。
「早く作ってもう一軒やろうヨ!」
三軒目…
体の痛みのせいなのか、僕は不安に包まれていた。
それとも、本来の怖がりな自分が出ていたのかは分からない。
三軒目を視野に入れたレシート作りは、ハイペースで続いて行った。
午後5時を過ぎた所でツルッパに電話を掛けた。
「どう?」
「両替全部終わったぞ。二万円分のレシートは言われたように残した。全く疑われてないと思うぞ。皆言ってる。換金所が開いたら景品、換金して良いんだよな?」
「うん、頼む。店員とかになんか言われたら換金中止して景品持ってコッチに全員で来な。何も疑われていない感じだったら、カウンターの中の様子を見て、疑われてるかの判断を何人かでやって教えてくれ」
ツルッパが上擦った声で言う。
「分かった… 疑われてなかったら、まだやるのか?」
「二万円の残りのレシート試してから考える。試すのは、お前だから、覚悟しとけよ。周りに根性見せろ。そろそろお前のメッキが剥がれて来てる。ハッタリだけじゃゴマカセない。ヤクザが一般人に軽く見られたら終わりだぞ。ハッタリも使えなくなったお前に用は無い」
返事をしなくなったツルッパが何を考えていたのかは知らない。
バイビ〜と、ふざけて言って電話を切った。
朝方に、レシート交換をツルッパに行くように言った時、周りに手下が数人いた。
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