「どう?何してるか分かった?」
源次は表情も変えずに答える。
「計量機の方に何かの受信機を取り付けてますね。ソコにバックの中に入っている発信機から信号を送っています。バックの発信機を受信機部分に向けている角度からすると、考えられる物は電波と赤外線です」
「受信機?」
この時僕は、受信機に心を奪われて赤外線を軽視してしまった。
全くゴトの世界で聞いた事が無かったからである。
「そうです。ギンパラと違って計量機に電波を受け付ける傷が無いのでしょう。赤外線も同様です」
僕の頭の中では、既に電波で間違いないと決めてしまっていた。
しかし一応聞いた。
「赤外線って?」
「テレビのリモコンの様な物です。当然、計量機に赤外線を受け付ける機能は無いので、受信機を取り付けるでしょう。しかし計量機を私は知らないので、赤外線の受信機を取り付けて機能するのかは分かりません。少しお金が掛かっても良ければ調べる事は出来ます。赤外線のメリットは発信機を小型化出来る事です。バックの大きさからすると電波の可能性も高いです。赤外線だとするとバックが少し大きいような気もします」
赤外線?
電波…受信機…
リュウに両面から探させようと考え直した。
午後1時過ぎから両替をユックリ開始した。
大型店、中型店、二軒同時である。
大型店では、中華ソバが同時進行でレシートを作っている。
両替するレシートは一人一枚だけ持たせる。
早い時間は3万円程度のレシートと言えど大量に持たせるのは不自然である。
それをカバーする為に、多数の手下達を集めた。
一人が数回両替に行けば理屈は同じである。
両替した景品は直ぐに換金させる事に決めている。
今回の両替で厳しいのは大型店では無く中型店である。
僕が最初にやったレシート交換のお店と変わらない状況になる事が予想された。
更に悪い可能性も高い。
前回のお店は、一部の台を新しくした、新装開店で、お客さんが沢山いた。
カウンターでも普段よりは両替が多いと予想していたであろう。
そのスキが突けたのである。
しかし今日の中型店は平常営業である。
両替が普段よりも増えるなどと予想もしていない。
換金所にも平時のお金しか用意していないであろう。
直ぐにお金はパチンコ屋から補充されるとは言え、普段と違う補充ペースに換金所でも不審を感じるはずである。
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この時間が楽しみでしかたないです