余り一つの列に、ガードの為だとは言え、人を入れるのは危険が増すように思えた。
人が集まった列には店員も気をつかう。
瞬間のゴトとは違ってレシートを300万円分作るには時間が掛かる。
目指すは、ヤケクソなガードでは無く、自然なガード。
この方法ならばガード達は頭を使う必要が無い。
ただパチンコを打って居れば良い。
単純作業ならば動きに不自然さが出る可能性は低い。
手下達にガードの方法を伝え、更に、隣りに一般のお客さんを入れない方法を伝えた。
「誰かが間に座ろうとしたらソッチに向けて足を組んで軽く睨め。それでも座ろうとしたら舌打ちを露骨にしろ。それでダメなら無理しないで諦めろ。分かったか?」
手下達のいくつかの質問に答えてガードの指示を終えた。
一人、気になる奴が居る。
ピンである。
どう言うガードをさせるのか中華ソバに聞いたが随分といい加減な物であった。
「俺が捕まりそうに為ったらソノ店員に殴り掛かル。 2、3人相手ならコイツは負けないかラ」
事件になる…
間違いなく…
はっきり言ってソレは僕にとって迷惑以外の何物でもない。
ピンを呼んでガードの仕方を説明した。
難しい事を言っても無駄である。
単純に行く。
「お前は中華ソバの1番近くに座って、前だけ向いてパチンコしてな。何も考えるな。前だけ見てろ。分かったか?」
全部を一言も違えないように中華ソバに通訳させた。
ピンはハオハオ言っている。
平気かな?
不安は全く拭えない。
ある意味、良夫ちゃんと同じであった。
僕の中でピンは、ただの気の良い間抜けにしか見えなかった。
乱暴さなど全く見えない。
最後に源次を呼んだ。
源次は、変造カードゴトを始めて数カ月経っている。
借金もハッキリとは分からなかったが、キチンと返済しているようであった。
源次には、一つの能力がある。
その能力に用があった。
「これから中華ソバが店に入って偽造レシートを作る。僕はソノ作り方が知りたい。中華ソバに聞いても隠される。だから源次さんに見て来て貰いたい。大体で構わない。分からなくても良い。何をしてるのか予想してくれ」
源次は静かに返事をした。
「はい」
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