韓国人・○国人85

「かかって来い…」

カクンカクンする足を引きずって前に出た。

踏ん張らなければ、前に転んでしまいそうである。

なぜか茶髪の目に脅えが走る。

「お前だけは殺す…」

更に一歩前に出た。

茶髪が下がる。

また一歩、足を引きずり前に出た。

茶髪が突然振り返り、後ろに向かって走りだす…

は?

僕はボンヤリ遠ざかる茶髪の後ろ姿を見ていた。

あれ?

逃げた?

なんで?

意味が分からなかった。

良夫ちゃんが半ベソで僕に寄って来る。

「なんだろ、アイツ?」

既に見えなくなった茶髪が向かった方向を顎で指し、良夫ちゃんに聞いた。

「怖かったんじゃないですか?」

まさか…

僕は限界だった…

気合いで凌いだ…?

良夫ちゃんの顔を見た。

髪の毛がボサボサに逆立って鼻水が垂れている。

「うわ! 汚ないよ! 鼻水!」

笑える…

でも寄るな…

僕につく…

振り返り黒髪を見た。

鼻を押さえて、上半身を起こし、俯いて唸っている。

血はシャツの前面までを赤く染めていた。

うぇ…

引くわ…

裏拳はやはり鼻に当たっていたようである。

折れているとは思ったが確認はしていない。

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これ以上、黒髪に関わるのは危険だと感じた。

鼻を折られて、なお殴り返して来る根性は恐ろしい。

喧嘩の最中の興奮状態の時に鼻が折れたのでは無い。

アドレナリンが上がっている時ならば、痛みを認知しない奴は沢山いる。

決して珍しい物ではない。

しかし黒髪は、アドレナリンなど上がっていない状態で、不意を突かれて僕に鼻を痛打された。

それで、なお反撃…

戦闘タイプの男…

すぐに向かって来るとは思わなかったが油断がならん。

血だらけで向かって来られたら嫌過ぎる。

「もう行こ…」

僕は良夫ちゃんにそう言って、痺れの取れかけた足で歩き出した。

最後に黒髪に一言言った。

「友達逃げたぞ。良い友達だな… 仲良くしろよ」

黒髪が顔を上げる事は無かった。

良夫ちゃんが僕に肩を貸そうとする。

「やめろや!鼻水つくがな!」

汚いオヤジであった。

この喧嘩以来、僕は人の武勇伝話しを信じなくなった。

聞く度に、嘘つくなと思い続けた。

良夫ちゃんが絡まれた原因は、果物を入れた袋を大きく振っていて、茶髪の足に当てた事が原因である。

大事な果物を入れた袋は振り回すな…

てか、デザートやめろ!!

食わないで、よし!!

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