情けない野郎だな…
馬鹿らしくなった。
髪の毛を掴みながら聞いた。
「僕は卑怯か?」
レシ担男は微かに首を横に振った。
顔面を殴りつけた。
「お前、今、僕を卑怯だって言ったな?!」
「…言ってない…」
そう言ってレシ担男は首をまた振った。
もう一度、出せる全ての力を込めて、レシ担男の顔面を殴ってから言った。
「次は殺すからな… 文句があっても、二度と僕に逆らうな… 生意気抜かしやがったら、面倒臭いから今度は大勢で相手してやる… 分かったか?!」
レシ担男の返事は無かった。
金玉の痛みで気を失ったようである。
その後は、この場から逃げ切る事だけをボンヤリ考えた。
いつ警察が来ても可笑しくない。
傷害は、親告罪では無いので、ここまでやっている以上、間違いなく逮捕される。
見物人の数は驚く程多い。
中華ソバが僕の車を喧嘩現場に横付けした。
足のつかない車だが、廃車にする事に決めた。
良い事の無い、散々な一日であった。
ここまでゴトに直接関係無い事を書いて来てしまったので、焼けくそで、もう一つ…
僕は良夫ちゃんのお陰で喧嘩に巻き込まれた事が二回ある。
それはまだ変造カードをやっていた頃だったと記憶する。
この日は、なぜか婆さんは居なく、良夫ちゃんと二人でホールを廻っていた。
一軒のゴトを終わらせて移動の為に僕は店を出た。
他の出口から良夫ちゃんも出た。
ホールから少し離れた所で良夫ちゃんが僕に追い付き言った。
「先に車行ってて下さい。八百屋あったから」
いつもの事である。
毎朝、食後に果物をデザートとして食べると言う。
きどるなアホ…
なにがデザートだ…
トロロ芋みたいな顔しやがって…
鼻で笑ってしまう。
ほぼ毎日、八百屋や果物屋に行く。
八百屋を見かけない日などは、探して走り廻られたりする。
「買い溜めしときなよ」
移動の途中で八百屋に寄られると、時間的な問題でゴトに支障が出るのである。
「新鮮なのが良いんです」
馬鹿じゃなかろうかと思う。
果物に新鮮も何もないであろう。
魚とは違うのである。
少し考えて買えば良いだけだ。
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