後から考えれば、赤外線の受信機さえ取り付けてしまえば大分楽であったと分かる。
レシートを作る時も、店員が味方なら多少は楽であろう。
この時の僕には、道具の正体が全く分からなくなった。
電波の道具と言う情報を持って探しているリュウも、道具を見つけられずにいた。
間違い無い情報が欲しい…
今回のゴトの間に掴む…
スキは必ず、どこかにある…
ふと思い付いた。
「一度に、2、3軒やろう」
「え? なにヲ?」
なにをって…
お前とフォークダンス、踊ったりする訳ねーだろ…
ゴトだ…
鈍い野郎だな…
「チェーン店なんだから、一軒やったら他も全部出来なくなるだろ… だから同時に同じチェーンの店を狙うんだ。人は、4、50人なら集められる。ソイツらを廻らせれば両替は簡単に出来る。一軒でレシート作り終わって、すぐ次の店のレシート作りに行けるか?」
中華ソバは僕を見て、目を見開いている。
チャンス…
「お前のトコの、レシート作る奴が出来ないって言うなら僕が作る。一日で、いくらになるかを考えろ」
レシート作りなど、道具の情報さえ入れば失敗しても構わない。
一度、中華ソバを助けた事でチャラである。
しかし、失敗するとは思えない。
他のゴト師が出来る事なら必ず僕にも出来る。
やれば誰よりも上手くやる自信がある。
更には、どれだけ役立つのか知らないが、ボディーガードまで居る。
僕にやらせろ…
全部飲み込んでやる。
中華ソバは戸惑っている。
今回の道具は、道具屋から、一日だけしか中華ソバは借りて来られなかったのは聞いていた。
普通より高い金額で借りて来ている。
欲に駆られろ…
まるごと僕が刈り取ってやる…
いつまでも、僕を使っていられると思うな…
僕は能無しの言う事は聞かない…
「ちょっと俺の方のレシート作る奴と相談するヨ… 」
「相談とか要らないだろ。自分で決められないのか?」
この日、中華ソバを、いくらアオっても自分で答えを出す事は無かった。
決行の日まで残り3日。
明日が狙う店の新規開店初日であった。
コメント
初めから全部読ませて頂きました。当時の裏の世界が垣間見えてすごく面白かったです。これからも期待してます。
パチスキーさん初めまして。最初から読んでいただいたとのこと、ありがとうございます。読者さんからの応援が本当に嬉しいです。
まだまだ続きますのでよろしくお願いします。