狙う店は、東京でも人の集中する大きな駅の前に新しく出来た、5、6階建てのパチンコ屋である。
台数にして何台あったのだろうか…
相当な巨大店である。
グループがチェーン展開する中で1番大きな店ではなかったか?
しかし僕は、ソノ店が開店する事すら知らなかった。
中華ソバが言った。
「一人店員が仲間だヨ。俺の友達の日本人が話しを付けました。だからレシート作りは問題ないヨ。ピンが見張るし何かあっても捕まる事は無い。人が多いから分け前も減るけどヨ」
敬語とタメ口の混ざる中華ソバが、得意な顔をする。
それで僕達に四割か…
取りすぎたな…
まあ、くれるって言う物は貰っとこ…
この時の僕は、レシート作りの方法が電波だと思っていた。
疑問に思う事を聞いた。
「店員がレシート作るの?」
電波の道具を、店員が持ってレシートを作る事が、無理な気がしたからである。
しかし、中華ソバのガードは堅かった。
「それは、コッチの問題ヨ。聞かない約束ね」
お前との約束など知らん…
何とかして、レシートゴト道具の情報が欲しかった。
道具さえ入ればカタコト馬鹿などに使われている必要がない。
早く道具を手に入れなければ残りカスしかない。
今回狙う店も、やれる店を減らす原因である。
グループ経営である以上、一軒やれば残りの全店が出来なくなるのは常識であろう。
さらに友好関係のパチンコ屋にも情報は漏れる筈である。
僕の食いぶちが減る…
早い者勝ちであった。
「いくらレシート作る気なの?」
「集める人数によるけど、5、6百万ぐらい駄目かナ?」
6百万…
すぐに、集められる人数と、一人が何回両替すれば良いか考えた。
30人で、10万を2回…
手下が手にする金額は、一人6万円。
いや…
もっと行ける…
新規開店なら、店側は必ず、お金を沢山用意している。
「一千万作れる?」
「レシートはバレなければ、いくらでも作れるヨ。今回は、この前より簡単だから…」
店員が赤外線の受信機を取り付けると言う事だったのであろう。
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