「お前、両替した時、怖い思いしたか?してねーだろ。良かったじゃねーか。騙したとかナマイキ抜かすなハゲ。どうでも良いけど、いちいち泣くな!」
既にツルッパはマジ泣きに変わっている…
お前…
マジうざい…
僕は、お金をツルッパに押し付けて、良夫ちゃんのワンボックスから降りた。
泣く奴は嫌いである。
泣いて、どうにかなる事など、どこにもない。
仕事が犯罪である以上、特にそうだ。
今回も、泣くより先に僕に噛み付くべきだ。
ツルッパの泣き虫は最後まで直る事は無かった。
更に彼は、よく神頼みをしていた。
これと決まった神様は居なかったが、時間がある時に神社などを見掛けると、必ず手を併せていた。
その後ろ姿を見る度に僕は思う。
お前は何を拝むんだ?
誰に助けを求めているんだ?
もしも神が居たとしても、僕達を助けると思っているのか?
手を併せ続けたら許されると思っているのか?
神は、そんなに寛大か?
デカイ図体を縮めて拝み続ける、ツルッパの後ろ姿が、酷く哀れに思えた。
「お前… あんまり拝むと罰当たるぞ。ちなみに何拝んでんの?」
神に手を併せる事を嫌う僕にツルッパは5円玉を握らせた。
「あそこの賽銭箱に、金入れて拝むんだよ」
あのな〜
それぐらい馬鹿でも知ってるわ!
「何を頼んでんだって聞いてんだよハゲ!」
「いや… みんなの安全…」
ぶん殴ろうかと思った。
「お前余計な事すんな!泥棒が神頼みして味方する神が居るか!神が居るなら逆に罰が当たるわ!」
僕はそう言いながら握らされた5円玉を、あさっての方向へ力いっぱい投げた。
遠くで、チャリン、チャリンと音がした。
その音は、5円の損を僕に伝えていた。
それ以外の何物でも無い。
ツルッパを見ると、悲しそうな顔で僕を見ていた。
その目が何を言っていたのかは分からない。
同情か?
サゲスみか?
ただ自分が傷ついたのか?
酷くイラつく目であった。
ツルッパ達と別れて僕は直ぐにリュウに電話を掛けた。
レシートゴトの道具探しをさせる為である。
この日のレシートゴトを全てリュウに話した。
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