最初のレシートゴトを終えた日の帰り道、ツルッパの取り分が、自分で換金した金額の、三割になるように渡した。
「え!? なんでこんなにくれるの!?」
ツルッパに、最後の換金はさせなかったので、自分はこの日、何もしていないと思っている。
めんどくさいので理由など言わない。
「良いから取っとけよ」
「いや… 良いよ。 いらないよ。働いてないから」
うぜえなコイツ…
「遠慮すんなよハゲ」
「ハゲってなんだ!」
「お前の頭だよ。鏡見ろ。光ってるがな」
横から婆さんが口を出した。
「ツルッパさん、何回行ったの?」
余計な事を…
僕は横を向いて無視した。
ツルッパは何の事か分かっていない。
「何?」
僕は既に吹き出しそうである。
婆さんが僕に目で聞く。
言って良いの?
僕は手を差し延べて言った。
「どうぞ」
「ツルッパさんが両替に行ったレシートは偽造なのよ」
ツルッパは何の事か解らずボンヤリしている。
少しすると何かに気付いたのか、ツルッパは驚愕の顔をしている。
たまらず僕は吹き出して笑いながら言った。
「なんだよ、その顔。笑わすな」
ツルッパは完全に気付いた。
驚愕から一転、泣きそうな顔になっている。
「お前、俺の事騙したな!」
笑いが止まらない…
「騙したなって… 人聞きの悪い事言うんじゃねーよ、ハゲ」
ツルッパは涙を堪えて食い下がる。
「あのレシート何だよ!」
「なんもかんもねーよ。偽造だろ。気付けバカ」
ツルッパの目からは涙がこぼれそうだ。
「お前、こんな事で泣くなよ、ぶっ飛ばすぞ」
「何で最初に言わないんだよ!」
面白いが、うざい…
「あのな〜 最初に言ったら、お前ビビって出来ねーだろうが。でも僕は近くに居たら絶対やらせるぞ。こんな簡単なゴトを、怖いを理由に嫌がったら、他の手下も見てるんだからクビにするしかねぇんだ。それが良かったのか? あ?」
既にツルッパは泣いていた…
なぜ泣くのか僕には理解出来ない…
ツルッパは、言葉に出来ずにクビを振った。
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