三人の手下達によって換金は時間を掛けながらも順調に進んだ。
閉店1時間前には30万円程の景品を残すだけになった。
パチンコ屋の閉店時間帯に起こる換金所の混雑に紛れ込んで両替する必要が無い程順調であった。
警察が店に来る事も無い。
このまま、閉店を待たずに換金を終わらせようと思い、手下に指示をした。
僕は店側は諦めたと判断した。
それに間違いは無かった筈である。
しかし換金所に異変が起きた。
手下から電話が来た。
「換金所の中にお金が無くなったみたいですよ」
は?
そんな馬鹿な…
このレシートゴト全体で抜いた金額は400万を少し越える程である。
新装開店の日で在れば、換金所に置いてある、お金は、普段の日よりも多い筈である。
僕は、その金額を、1千万から2千万と予想していた。
しかし現実は違った。
この換金所はお金のプールなどしていなかったのであろう。
無くなればパチンコ屋から補給する形ではなかったか。
僕達が持ち込む景品によって、普段とは違う換金のスピードに、戸惑いながら補給が遅れた。
「払い出されるお金が、全部、5千円札になりましたけど…」
マジで?
そんな事あんのか…
僕は少し戸惑った。
しかし問題は無いように思えた。
すぐに補給するであろう。
パチンコ屋と換金所は別経営などと言って、博打場では無いとごまかしているだけで、内情は同一経営なのだ。
すぐにパチンコ屋から、お金が回る。
そう思っていた。
しかしこのパチンコ屋は違った。
この頃から本当にパチンコ屋と換金所の経営を分断している所が現れ始めていた。
換金所を外部に頼むのである。
そうする事で、今までは建前であった物が本物に変わる。
これらは警察などの指導に依って成された。
現在ではそれが主流になり始めている。
国がゴマカシに荷担したのか…
それは知らない。
換金を外部へ頼んでいたとしても、換金所へのお金は便意上、パチンコ屋から補給される事に変わりは無い。
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