韓国人・○国人49

カウンター前に着いて二枚のレシートを店員に渡した。

二枚で14万程である。

同時に携帯をポケットから取り出し耳にあてた。

カウンターの店員は何のチェックもしないで景品を数え始める。

イケるの…?

心臓が早鐘のように鳴る。

鼓動が耳の奥で聞こえる。

早くしてくれ…

数秒が数分に感じた。

その時、二人の店員が僕の後ろを通ってカウンターの中へ入って行く。

計量機の前に居た白シャツと店員であった。

カウンターの店員が袋に詰める景品を二人はジッと見ている。

僕は無理に作った笑顔で携帯に喋り掛けた。

「スロットで馬鹿当たりしたよ! だいぶ勝ったぞ! お前も来いよ! クランキーコンドルって台。知ってる? あの台まだ出るよ!」

僕は話す事をやめなかった。

話しをしている事によって問い掛けられる事を防ぐ。

更には、なんとかして二人の店員に、目の前にある景品がスロットで出した物と思わせたかった。

パチンコの計量機とスロットの計量機は違うからである。

それは僕が、カウンター前を離れる、一瞬の勘違いで良かった。

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白シャツは景品から目を切って僕を見ていた気がする。

はっきりは分からない。

体から力を抜く事に集中していた。

景品を受け取った僕は誰の顔も見ずに外へと向かった。

駆け出しそうになる足を必死に止めた。

後ろで店員同士が話しをしているような気もする。

振り返りそうになる首も必死に押さえた。

換金所方面の自動ドアが開く。

通り抜ける。

後ろで自動ドアが閉まった。

右へ行けば換金所。

僕はタメラいなど一切なく左へ全力疾走で走り始めた。

心臓が口から出そうになる。

脇目も振らず真っすぐに走った。

店が見えなくなる、直前の所まで来て、走りながら後ろを初めて見た。

僕が出た店の出口の前には、数人の店員が出て、こちらを指差している。

僕は立ち止まって振り返った。

息を整える。

苦しい…

逃げ切った歓喜に声が出た。

「抜けさくーー!! あほーー!!」

楽しくて仕方なかった。

すると店員の中から二人の店員が飛び出した。

僕に向かって来る。

やべ!!

怒った!!

僕は、余計な事を言った事に後悔しながら、再び全力疾走に入った。

この日、僕から歓喜が消える事は無かった。

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